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靴の「底」について深く考えてみる その6(3ページ目)

今回の「メンズシューズ基礎徹底講座」も、引き続きラバーソールについての解説です。時代の変化を予測して作られたものや、開発当初の認識とは全く異なる使われ方が定着してしまったものなど、ラバーソールが「進化」していった系譜が、今回ご紹介するものからは特に明確に読み取れるのではないでしょうか。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

ラバーソールから自社生産する!

パラブーツのPARATEXソール

フランスのパラブーツの定番・Chambordに付くパラテックスソールです。ここは多品種のラバーソールを自社で生産できる、今日では極めて珍しい靴メーカーでもあります。独特の粘り気のある履き心地は、相性が合えば一生手放せなくなるはず!

独自の製造・製靴ノウハウが求められるエアクッションソールは、前述した「Dr. Martens」ブランドを含め、靴メーカーが底材メーカーからの購入ではなく自社生産する傾向が多く見られます。ある程度以上の企業規模が必要な訳で、装着している靴メーカーは必然限られてしまうのが実情です。一方それとは異なるアプローチで独自のラバーソールを自社製造し、それを自社の靴のみに用いている靴メーカーもどっこい存在します。そう、フランスのパラブーツ(Paraboot)です。

近年はモダンな印象の靴やデッキシューズなどが話題に上る事が多いのですが、そもそもは地元・グルノーブルの庶民が履いていた硬い木のソールの靴に替わるものを、との着眼点で採用されたラバーソールは、矢張りチロリアンシューズやUチップのようなカントリーテイストの靴との相性が抜群です。ブランド名も原料であるラテックスを開発時に輸入していたブラジルの地域名に因んだものですので、ラバーソールの靴で名を馳せるのは、必然的運命だったと申せるでしょう。伺ったところでは、常時ラインナップされている訳ではないものの製造可能なラバーソールの種類は数十種類もあるらしいですから、靴メーカーとしては異例中の異例です。

代表選手であるUチップのChambordに付くパラテックス(PARATEX)ソールは、合成ではなく天然ゴムベースのせいか、イギリスやイタリアのラバーソールに比べ、履き心地にヌッチャっとした独特の粘り気を感じさせてくれるのが特徴です。ここの靴のインソールが履き込むと結構ダイナミックに沈み込むのも手伝い、喩えは変ですが、まるで「漢方薬の効き方」みたいな感触…… 履き手の足と相性が合わないと難儀する場合もあるけれど、合ってしまえば着用頻度が飛び抜けて高くなるラバーソールですよ。

自社生産ではないにせよ、ラバーソールの使い方が歴代上手い靴メーカーって、パラブーツ以外にも思い当たるところがあります。次回はその辺りを含めてお話ししましょうか。

【関連サイト・メンズシューズ基礎徹底講座
靴の「底」について深く考えてみる その1
靴の「底」について深く考えてみる その2
靴の「底」について深く考えてみる その3
靴の「底」について深く考えてみる その4
靴の「底」について深く考えてみる その5

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