換気扇の大掃除はもうしなくていい
換気扇の分解大掃除は、年末の風物詩のようになってきましたが……
でもね、この換気扇、そもそも、日本の住宅に普及したのは1958年の公団住宅用の換気扇が最初といわれています。つまり、まだ60年ほどの歴史しかない住宅設備なのです。
しかも、初期の換気扇は、壁に穴を開けてプロペラが回るシンプルな仕組みのもの。現在のようにレンジフードがついて、中のダクトを通って排気をする複雑な仕組みの「シロッコファン」といわれる換気扇が初めて作られたのは1983年。高層住宅の普及にともない80年代後半からこのタイプが増えていきました。つまり、このタイプの換気扇はまだ30年ほどの歴史しかないということになります。
プロペラ式の時は、簡単にはずしてお掃除ができました。この時、がんこな油汚れを落とすために、強力な油汚れ落としの家庭用洗剤が使われるようになったため、洗剤会社は年末になると大々的に「換気扇の大掃除を」とキャンペーンをしたのです。この流れのまま、シロッコファンが普及した今でも、「換気扇はお家で分解してつけおき洗い」という大掃除の習慣が、各家庭にも、流通の現場にも残ったのです。
当初、プロペラをはずすだけで掃除ができたのに、今ではフィルターをはずして、中にあるドラムのような形をした羽を分解して洗わなくてはなりません。ガイドは、これはもう素人が家で行う作業ではないのではないか?と思うのです。
換気扇の大掃除をやってはいけない2つの理由
お掃除が楽なパナソニックの「スマートスクエアフード」。キッチンが部屋の真ん中にある高層マンションが増えたこともあり、こうしたシロッコファンのレンジフードが普及しました
特に換気扇は、構造がすっかり変わってしまったのに、大掃除の習慣だけが受け継がれている設備なのではないかと思います。もし、強い油汚れ落とし洗剤を使って、レンジフードの中まで分解して掃除をしなくては、と考えている方がいらっしゃるとしたら、それは「家ではもうやらなくていい大掃除」、もっと強い言い方をすれば「やってはいけない大掃除」です。「やってはいけない」理由は2つあります。
■理由1:強い洗剤を使うことによる安全面でのリスク
特に小さいお子さんやペットのいる家庭では、強い洗剤の揮発成分も見逃せません。強い洗剤を使いたくないからと、ナチュラル系の洗剤を使うと、こんどは汚れ落ちが悪い分を「摩擦」によって落とそうとするため、時間がかかるだけでなく、細かい傷がつく、変形するなどして本体の摩耗を早めてしまいます。家庭用洗剤にはさまざまな成分上の制約があるため、がんこな汚れを落とそうとするなら、プロ用の業務用洗剤を使うほうが、こする負荷も時間も少なくて済みます。家で頑張るより、割り切ってプロに任せるほうが、さまざまな意味で安全です。
■理由2:素人の分解による変形などのリスク
素人が分解をすることで、変形などのリスクを伴い、結果的に製品寿命を縮める恐れがあります。また、高い位置での作業になるため、事故などにつながるリスクもゼロではありません。換気扇は「自分で掃除しないほうが長持ちする」のです。
換気扇の大掃除をしないための2つの施策
では、自分で掃除をしないなら、どのようにメンテナンスをすればいいのでしょうか。換気扇の大掃除を「やらない」代わりの施策は2つあります。■施策1:プロに外注する(アウトソーシング)
オフィスでも公共施設でも、快適に設備を維持するためにはメンテナンス費用がかかります。家庭でも、こうした工業製品を適切に維持していくためには、メンテナンスに費用がかかることを割り切り、年間で費用をストックしておくのも、これからは必要な発想です。
■施策2:メンテナンスフリーの製品を選ぶ
毎年、油汚れをためこみ、そのために大きな手間がかかったり、多額のメンテナンス費用が発生したりする設備が家にあるのなら、設備そのものの見直しを図ることも大事な家事能力の1つだと思います。
クリナップの「洗エールレンジフード」は、フィルターを自動洗浄して、10年間お手入れ不要という優れもの
またパナソニックからは、洗剤を使わず、ぬるま湯につけておくだけで簡単に油汚れが落ちるフィルターを使用した換気扇も発売されています。周囲の油汚れも拭き取りやすく、内部の掃除も簡単にできる工夫が、最近のレンジフードには施されているので要チェックです。
■クリナップ公式サイト「レンジフード」紹介ページ
■パナソニック公式サイト「レンジフード」紹介ページ
家も、設備も、ライフスタイルもどんどん変化を遂げています。家事の大事な文化は残した上で、変化を遂げた場所については、発想を変えていくこともとても大切。「今年から換気扇の大掃除はもうしない!」そう思えるだけで、ずいぶん楽になりませんか?
【関連記事】