暮らしの歳時記/正月の行事・楽しみ方(年末年始)

大掃除とは?由来・年末にする意味や理由、ちょっとやる気が出る話

大掃除とは? なぜ年末に大掃除をするのでしょう? 汚れたままでも年は越せるので、するかしないかは気持ちの問題といえます。正月に向けて大掃除をする理由・意味・由来を紐解くと、大掃除と気持ちとの関係がわかります。子ども達にもその意味を教えると、はりきって汚れを落としてくれるでしょう。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

大掃除とは? 年末に大掃除をする理由・意味 

今年の大掃除、どうしますか? ただでさえ慌ただしいこの時期、なんとなく面倒に感じている方も多いでしょう。大掃除をしてもしなくても年は越せますが、何かしら掃除をしないと気持ちよく正月が迎えられないと感じている方も少なくありません。極論をいえば、大掃除をするかしないかは、気持ちの問題といえます。
年末大掃除、意味・理由・由来

そもそも、どうして年末に大掃除をしなきゃいけないの?大掃除とは?由来や意味を知るとやる気が出てくるかも!?

そもそも、なぜ大掃除をしないといけないのでしょう? 大掃除の由来・意味をひも解き、そのへんを探ってみると、大掃除と気持ちとの関係がわかります。
 
<目次>
   

年末大掃除の由来・意味~12月13日の煤払い

キッチンは家族の命を支える料理をつくり出す場なので、大掃除も念入りに

キッチンは家族の命を支える料理をつくり出す場のため、大掃除も念入りに

大掃除のルーツは「煤払い(すすはらい)」です。昔は家の中に囲炉裏やかまどがあり、家の中が煤(すす)だらけになったため、煤を払うことが掃除をすることの象徴でもありました。また、払うという言葉には、清めるという意味があります。

煤払いをする日には諸説ありますが、一般的には12月13日です。旧暦12月13日は、婚礼以外は万事に大吉とされる鬼宿日(きしゅくにち)だったため、江戸時代に江戸城で煤払いが行われるようになり、それが一般に広がったといわれています。

では、なぜ吉日を選んで煤払いをしたのでしょう? それは、煤払いというのは単なる掃除ではなく、新年を司る年神様を迎えるための神聖な清めの行事だったからです。現在、煤払いというと神社やお寺の煤払いを思い浮かべるのは、そのためですね。

そもそも、一連の正月行事というのは、新年を司る年神様をお迎えするために成立しました。年神様は、農耕神であり祖霊神でもあると考えられているため、家々にやってきて新年を生きる力や福徳を授けてくださるといわれています。そこで、年神様を迎える前に家中を清めるわけです。私たちが大事なお客様が来る前に念入りに掃除をするのと同じですね。

床の間、居間、神棚、仏壇はもちろんのこと、とくに念入りに掃除したのが、台所です。台所というのは、家族が生きていくために欠かせない料理を作る場ですから、台所を汚くしていると生命力も落ちやすく、その家の運も逃げてしまうと考えられているからです。台所には、かまど神(荒神様)がいるともいわれています。同様に、浴室やトイレといった水回りも念入りに行うようになりました。
 

大掃除をする理由~ケジメ

大掃除をするとスッキリした気持ちになるのは、理由があるから

大掃除をするとスッキリした気持ちになるのは、理由があるから

大掃除は、けじめのひとつと考えられています。昔から、「ハレとケ」という概念があります。ハレは正月や祭りのような非日常、ケは仕事や普段の生活などの日常を指しており、ケの日常で枯れた気(ケガレ)を、非日常のハレの日に気晴らしすることで元の気に戻し「元気」になる……を繰り返しながら暮らしてきました。こうしてケジメをつけながら日本人は生きてきたわけです(詳しくは「「『行事育』注目したい五つの力ー元気になる」をご覧ください)。

ハレの中でも、お正月というのは最も重要であり、昔は魂を更新する(パワーチャージをする)重要な時と考えられていました。お馴染みのお雑煮は、魂の象徴であるお餅を食べ、身につけるための料理です。現在はそのように信じて行動しているわけではありませんが、お正月に特別な気持ちになるのは、こうした文化が根底にあるからだと思います。

煤払いに清めの意味があるように、大掃除には有形無形の様々なものを払ってケジメをつける意味があるため、すっきり気持ちよく新年を迎えられるのでしょう。昔から、掃除をすると良いことがあるといわれていますが、その最たるものが大掃除であり、隅々まできれいにすると、年神様がたくさんの福徳を授けてくださるといわれています。
 

大掃除をやる気になったら

こうして理由を見てみると、大掃除は単なる掃除ではないことがわかります。やる気が出たら、その気持ちを大切にしてください。時期と内容のポイントはこちらです。

■時期  
昔は、煤払いが済んだら門松にする松やおせちを作る薪などを山にとりに行き、神聖な場であることを示すしめ縄をつけて、年神様を迎える準備を進めました。そのため12月13日を「正月事始め」といいます。

現在は、大掃除といえば年末にするものだと思っていますが、本来は13日に行っていたもののため早めに取り組んでおきましょう。年末に慌てることもなく、余裕をもって過ごせます。

■内容
家中を掃除できれば理想的ですが、なかなかそうもいかないのが現実です。水を使う網戸掃除など、天候の良い日にしたほうが合理的なこともありますし、時間がない場合もあるでしょう。

そういう場合は、やる気と意味を大事にしてください。まずは、自分でここだけはやっておきたいと思ったところ。そして、本来の意をくんで、床の間、神棚、仏壇、リビング、キッチン、浴室、トイレなどに優先的に取り組みます。昔から、家族の命を支える台所(キッチン)、健康を保持する水回り(キッチン、浴室、トイレ)はとくに大事とされています。最近は、有能な道具や掃除術があるので、それらを駆使してもOK!

なお、正月飾りは、大掃除がすんでから飾ります。詳しくは「しめ縄・しめ飾りの意味と飾り方 ~種類・向き・飾る場所・時期~」をご覧ください。

自分なりに納得できるよう行動し、気持ちよくお正月を迎えてくださいね。


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