・蒸物
菊花かぶら
射込みカブラと、その中に入っている鶏肉、優しい風味の「とろみ餡」が織り重なるように一体となり、旨味の多層感が五臓六腑に深く染み渡っていくかのよう。食べ終わる頃には身も心も温まる逸品でした。
・揚物
揚物
例えば今回の場合なら、「鮟鱇」は燻製(自家製)にして旨味を凝縮してから揚げてあるので、プーンと立ち昇る薫香と旨味のアタックが抜群! 他にも、「鯛」は「松茸」を包んで揚げることで、それぞれの香りの多重感だけでなく、噛みしめた時の食感も心地良い。それら以外にも、「豆乳豆腐」には「抹茶」を織り込み、外はパリッと中はクリーミーと味わいのコントラストがとてもユニーク。あとは「チップ状のクワイ」「万願寺とうがらし」「鷹ヶ峰とうがらし」で盛り付けの彩りを演出してあり、食べるのがもったいないほど美麗なる一皿に仕上げられているのです。
・酢物
天然とらふぐの煮こごり
「天然トラフグ」を使った「煮こごり」の上には、「ナス」と「ずいき」を円やかな酢で和えたものが添えられ、さらにそこに「香箱蟹の外子」を乗せることで、彩りと食感のアクセントを付与。器も含めたルックスの美麗さと、全てが上品に纏まるハーモニーの結晶たる味わいは、本物の一流料理人だけが到達できる、和の極致。
今まで35年間、京料理を食べ続けてきましたが、これだけ見事な「酢物」は初めてですね。
次ページは、「飯物(混ぜ御飯)」や「水物」を御紹介します。