自分を傷つけてしまう「自傷行為」とは
やり場のない怒りや空虚感を覚えたとき、人は普段しないようなことを衝動的にしてしまうことがあります
どうして自分を傷つけるという衝動を抑えられなくなってしまうのでしょうか? 今回は自傷行為の問題について詳しく述べたいと思います。
<目次>
自傷行為をなぜ行うのか…… 苦しみの中から自分を救う手段になることも
もしも、やり場のない怒りを覚えた時、皆様ならどうしますか? ショッピングで気持ちを発散させたり、酒を普段以上に飲んでしまったり、また、やけ食いしてしまう人もいるでしょう。中には、衝動的に壁を殴ったり、額を机にぶつけてしまう人もいるかもしれません。誰でも程度の差こそあれ、自分を傷つけるような行動があると思いますが、自傷行為はその極端なケースと言えます。自分を傷つける事によって、怒りを鎮め、押し潰されそうな気分を放出しています。ある人にとっては、自傷行為が自分の苦しみに対処する唯一の手段となり、苦しみを感じる度に自傷行為が繰り返されてしまいます。
こうした行為はなかなか他人には言えないものなので、その実態を把握する事は困難ですが、自傷行為の多くは若い女性に見られます。カミソリやナイフで手首や腕、脚などを傷つけますが、多くの場合、命に危険が及ばない程度の傷つけかたです。脳内で鎮痛作用のある、モルヒネ様の物質が分泌されることで、しばしば、傷つけの時に痛みを感じません。
自傷行為はなぜ繰り返されるのか……その心理や原因は?
自傷行為を止められない人の大部分は、辛い問題に直面していたり、子供の頃、虐待を受けたりして、心が傷ついています。自分に対して自信を失っていて、自分は正当に扱われていないといった意識が強く、絶望や空虚感に心が打ちのめされそうな状態になっているものですが、往々にして自己と周囲の関係に対する間違った認識が心の葛藤を大きくしています。自傷行為が繰り返されると、周りの人に構ってもらいたいが為にわざとしているといった印象を周りに与えてしまうかも知れませんが、本人にとっては自分の怒りや苦悩を表現する手段として、自傷行為しかない場合があり、やがて、怒りの矛先が他人に向いてしまったり、希望を失い自殺に至ってしまう可能性もあります。
自傷行為を抜け出すためには、精神科や神経科に相談を
自分は周りから不当に扱われているといったような思い込みがある場合、いわゆる心理療法を受ける事で物事を違う角度から眺める事を学ぶことができます。そうした治療を通じて、自分は不当に扱われているといった思い込みを矯正することが、自傷行為から抜け出す上で大きな手助けになるものです。また、自傷行為が繰り返される背景には、パーソナリティ障害やうつ病、統合失調症など心の病気が関わる場合も少なくありません。もしも自分を傷つけるという衝動をコントロールできない状態になっていたら、是非、精神科や神経科などで相談してみてください。
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