栄養管理/炭水化物・糖質

ブドウ糖・果糖・ガラクトースの効果・役割・不足(2ページ目)

私たちが食べる食事の約半分は炭水化物。炭水化物という言葉はとてもよく知られていますが、食べた炭水化物が体内でどのような働きをしているかはあまり知られていません。炭水化物は分解されると、ブドウ糖、果糖、ガラクトースという単糖になります。今回はこれらの単糖類の働きを紹介します。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

果糖(フルクトース)の効果・役割

果糖

まだまだ分からないことが多い果糖。市販の甘いものにも果糖が沢山入っていることも

果糖は単糖類の中で一番甘みが強い糖です。一番水に溶けやすい糖でもあり、はちみつ、フルーツ、メープルシロップ、一部の野菜などに自然な形でも多く含まれています。2糖類であるショ糖(スクロース)が分解されるとブドウ糖と果糖になります。フルクトースは安価で甘みが強いため、食品業界などでもよく使われています。

ブドウ糖は体全体の細胞で使われますが、果糖は主に肝臓と筋肉、特に肝臓で使用されます。フルクトースの長期的な過剰摂取は肝臓での脂肪生成を促し、結果として高脂血症や高内臓脂肪の原因となります。いわゆるメタボの原因につながります。

最近では、製造食品に多く含まれる果糖や果糖ぶどう糖液糖(異性化液糖、HFCS)の健康への様々な影響(肥満、メタボ、お腹の不調など)なども活発に調査されています。これらの果糖が多く含まれるものに清涼飲料水があります。果物や野菜など自然に存在している果糖の適量摂取は大切ですが、加工品からの果糖摂取量には気をつけたいものです。

小さい子供では果糖の割合の多いジュース(りんご、梨など)を飲むと下痢を起こす場合があると考えられています。これは果糖が吸収される際の浸透圧の影響によるものです。

果糖はGI(グリセミックインデックス)値が低いと考えられ、糖尿病の食事療法に活用できるとの説もありますが、肝臓でのブドウ糖と果糖の代謝を考慮すると、逆に悪影響がでるなどという説もあります。果糖に関してはまだまだはっきりしていないことが多いのでこれから解明されていくでしょう。
 

果糖(フルクトース)の不足

果糖は果物、はちみつ、一部の野菜、砂糖、市販の飲料をはじめとする様々な加工食品に含まれているので、一般的な食事をしている人ではまず不足しません。不足した場合の弊害は知られていません。


ガラクトースの効果・役割

単糖類の一つです。乳糖(ラクトース)が分解されるとガラクトースとブドウ糖になります。ガラクトースはグルコースより甘みが弱い糖です。母乳、牛乳などはガラクトースを含みます。最近よく耳にする、ラクトース不耐症はガラクトース血症とは全く異なるもので、ガラクトース血症は先天性代謝異常のひとつで稀な疾患です。ガラクトースの過剰摂取や不足による弊害は知られていません。

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