起業・会社設立のノウハウ/起業・独立資金を得る

自己資金はどのくらい? 起業での資金調達(2ページ目)

起業時に一番苦労するのが資金調達。事業計画でどれだけの資金が必要かがわかったら、どこからどのような条件で、いくら調達するかを検討します。自己資金、出資、日本政策金融公庫の新創業融資、自治体の創業融資、助成金等について検討していきましょう。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド


出資の種類とは?

自分で用意できる自己資金に加え、誰かに出資してもらうという手もあります。

家族親戚、知人友人からの出資
起業時の資金調達で、両親、親類や知人・友人からの出資を受ける割合は非常に多いです。融資などと違い、資金計画上調達できないというリスクが少なく、確実性があることが魅力だからです。ただ、甘えにもつながりやすく、もし失敗したときにずっと迷惑を掛けてしまうリスクもあります。

■エンジェルからの出資
エンジェルとは、個人投資家のなかで特に創業初期の会社に対して出資を行う投資家のことをいいます。エンジェルからの出資は、創業初期の不安定な時期に直接高額な出資をしてもらうため非常にハードルが高い。しかし、エンジェルと起業家との間で個人的な人脈・信用がある場合には有効な手段になります。普段からの人脈・信頼関係の構築が必要ですね。

■ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタルとは、高い成長性が見込まれる未上場企業に対して資金を投資する投資会社です。有望な新技術やノウハウをもつビジネスに対しては、ベンチャーキャピタルが出資してくれる可能性はあります。厳しい審査があるのでベンチャーキャピタルから出資を受けるのは非常にハードルが高いですが、事業の成長性などに自信があるなら検討の余地はあります。ベンチャーキャピタルが出資する目的は基本的に将来的に出資した会社が株式公開して売却益を得ることを前提にしています。

日本政策金融公庫の創業融資

起業の際に検討する融資で、まず最初に思いつくのが日本政策金融公庫からの融資です。政府の100%出資で設立されている金融機関で、税金を原資として運用されており、起業家やベンチャービジネスを創出するという政策目的も含み創業資金の融資を行っています。

公庫の融資制度のうち、無担保無保証で最大1500万円まで金利3.55%(平成26年1月16日現在)で創業資金の融資が受けられる「新創業融資制度」が、起業家にとって有利な条件でオススメです。

新創業融資を受ける際のポイントは、大きく分けて次の4つ。
  1. 自己資金
  2. 経営者の業種経験・能力
  3. 資金使途
  4. 返済可能性
です。

自己資金は、事業資金全体の3分の1が必要。誰かから一時的に借りてきたお金など、いわゆる見せ金はダメで、必ず審査が行われます。

経営者の業種経験は、従業員としての経験なども含めて起業した業種に従事していた経験がどれだけあったかということです。通常の経営時のように過去の経営実績から経営者の能力を判断することができないため、今までの経験を基にして審査を行うためです。

原則として6年が基準となっていますが、必ずしも6年の経験がないとダメというわけではありません。その業種について6年未満の経験しかない場合は、いままでの経験で、起業した業種に近い経験ができていることをアピールする必要があります。また、融資審査の際に融資担当者と1時間程度の面談が行われ、経営者としてきちんとお金を返済できる人かどうかを審査されます。

資金使途は、借入希望額の使い道が設備や運転資金として、きちんと予定されているかどうかです。事業計画書や実際の見積書に基づいて確認が行われます。

返済可能性は、事業計画書の毎年の税引き後の利益が、その年の返済額を上回っているような計画となっているかが求められます。

詳しくは創業融資関連の記事もご覧ください。
日本政策金融公庫で新創業融資を調達するノウハウ
公庫創業融資の獲得率を上げる創業計画書の書き方
ケース別 よくわかる創業融資の選び方~前編
ケース別 よくわかる創業融資の選び方~後編
起業に超有利な公庫の新融資!中小企業経営力強化資金

自治体の創業融資

次に民間金融機関からの融資も検討します。原則として、決算を2回終えていない会社に対しては、金融機関単独での融資(プロパー融資といいます)を行うことはありません。民間金融機関にとって、実績や体力がない創業当初の会社に単独で融資を行うことはリスクが大きすぎるためです。そのため、各自治体が起業家向けに支援を行っている創業融資の利用を検討することになります。

創業融資は、各自治体が創業資金の融資のあっせんを行い、信用保証協会の保証を前提に各自治体が指定している取扱金融機関が融資をするという制度融資です。

創業融資の特徴は、各自治体によってその内容は異なること、約1%~2%という低利で1000万円から2000万円ほどの融資が受けられること、自治体によっては利息や信用保証料に対して補助が受けられることなどです。

約1%程度の信用保証料が必要という以外、融資条件などは日本政策金融公庫からの融資と大差はありませんが、基本的にその自治体内に事業所があること、または住所があることが条件となっています。

起業を検討している地域の都道府県・市区町村に、創業融資制度などの起業支援策があるかどうか、事前にチェックしてみるといいでしょう。
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