企業のIT活用/IT関連法律の注意点

ビジネスソフト違法コピーには高額な和解金(3ページ目)

コストを下げようとビジネスソフトの違法コピーを導入して、発覚するときついお灸が待っています。3億円という和解金を払った企業も登場。従業員が勝手にやったは通らず、社長の個人責任も問われます。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド


まずはパソコン台帳管理から始めよう

違法コピーを防止するには、まずはパソコン使用環境の把握から始めましょう。各部署で購入時は決済がまわってきますが、導入後の管理はほとんどの会社で行っていません。

そこで、エクセルでパソコン台帳管理を行います。管理項目は、導入部門、情報機器No.、導入年月日、買取/リース(リースアップ日)、OSバージョン、ウィルス対策ソフト期限日、インストールされているソフト、バージョン、ライセンスNo.です。

サイトライセンスの場合、ライセンス総数とソフトがインストールされているパソコン台数が一致しなければなりません。ライセンス証明書、使用許諾契約書などの紙の書類はフォルダーで管理します。

管理することでOSやソフトのバージョンアップ費用、ウイルス対策ソフトのアップデート費などの予算化が楽になります。管理を始めるとけっこうな金額が運用でかかっていることがわかるでしょう。導入時の費用に目を奪われがちですが、実際は運用に導入時の4、5倍の金額がかかっているのです。

システムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額をTCO(Total Cost of Ownership)と呼んでいます。使っていないのに無駄にインストールしているソフトはないか。各部署でバラバラに同一ソフトを購入していたら、会社として1本だけパッケージ購入し、あとは必要台数分のライセンスを購入すればボリュームディスカウントになりコストを下げられます。

オープンソフトを使う

そうはいっても購入台数が多いのでコストがかかると考えるなら、ビジネスで使えるオープンソフトがいくつか登場しています。オープンとは、将来的にもデータへのアクセスが可能な形式で、ソフト開発会社以外のソフトからでもデータへアクセスができるのです。

オープンの反対がクローズで、データにアクセスするためにそのメーカーのソフトを買い続けなければなりません。昔のワープロ専用機は各社独自の形式(フォーマット)でデータが保存されていたため、ワープロの製造が打ち切りになった時にパソコンへのデータ移行が問題になりました。オープンでなかったためです。

マイクロソフト・オフィスのデータは独自形式でしたが、Office2007から「Open XML」というオープンな標準形式へ移行。それにより、例えばWordの拡張子が今までの「.doc」から「.docx」に変わっています。

マイクロソフト・オフィスに匹敵するオープンソフトとしてOpenOffice.orgコミュニティがオープンオフィスを提供しています。ワープロや表計算だけでなくプレゼンテーション、データベースも揃っています。

ワープロソフト(Writer)、表計算ソフト(Calc)、プレゼンテーションソフト(Impress)、データベースソフト(Base)、図形描画ソフト(Draw)、数式エディター(Math)があり、マイクロソフト・オフィスと高い互換性を持っていてオフィスで作ったファイルを開いたり保存することができます。マイクロソフト・オフィスと同等の機能があり、しかも無料で使用可能。ソフトのバージョンアップが行われてもアップグレード費用の心配がありません。

ソフトの違法コピーは犯罪です。目先のコスト削減ではなく全体のバランスを考えたコスト削減をめざしましょう。
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