コーチング/人材育成・組織作り

ビジョンは部下のリーダーシップを育てる(2ページ目)

目標について語られることはあってもビジョンについてマネジャーが扱うことはほとんどありません。しかし、具体的なビジョンこそ、相手を前進させる牽引力となるのです。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド

ビジョンは具体的に聞く

ビジョンを明確にする
ビジョンはたくさんの角度から聞くことで明確になる
ビジョンを扱うとき、次のような質問からはじめる人がいます。

<上司>
「田中くん、3年後には、どうなっていたい?」

<部下の田中さん>
「3年後? そうですね、海外で新製品を売っていたいですかね」

周りの人にも同じような質問をしてみてください。おそらく、これに似た答えが返ってくるでしょう。聞いていても実感がなく、単なる願望を言っているにすぎません。またエネルギーが低いので、そのビジョンが実現されることはないでしょう。これはビジョンを聞くときによく陥るパターンです。では、次の質問はどうでしょうか?

<上司>
「田中くんは3年先の何を目指しているの?」

これは、架空の3年先のことを聞いているのではなく、相手が今何を目指しているかを聞いています。

<部下の田中さん>
「2012年に行われる国際展示会で新商品を発表することです」。

これでぐっと現実味を帯びてきます。その後に、現在ともう少し先のことについての質問を続けます。

「そのために今取り組んでいることは何?」
「その時はどんな役割で関わってるの?」
「新商品についてどのような構想を持っているの?」
「課題となっていることは何?」

漠然として抱いていたイメージが、質問を受けることで少しづつ輪郭が見えてきます。それはちょうどカメラのレンズのフォーカスを絞るようなものです。コーチ型マネジャーが投げかける質問に答えることによって、その人のビジョンはより鮮明となります。霧の中を歩くような状態から、晴れて何キロも先の道すじが見えるようになるのです。それは、漠然と「どうなっていたいの?」と聞かれたときとは雲泥の差です。

ビジョンをより鮮明に描くには、さまざまな角度から聞くことが大事です。

次のページでは、ビジョンの描くときのポイント紹介します。
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