部下を持ちながら、自らがプレイングマネージャーとして活動している人は多いことでしょう。特にそのような立場にいる人にとっては、部下が自発的に行動し、課題に自ら取り組むことを望みます。反対に、1つひとつ指示しないと動かなかったり、自分のことだけをやってそれ以上取り組まない部下がいると、多くのストレスが注がれてしまいます。自発的に行動する人と、指示が来るまで動かない人の違いは何でしょうか? 今回は、指示待ち部下を動かせるコツをご紹介します。

目標や方向性が見えていない

指示待ち部下を動きやすくする方法がある

指示待ち部下を動きやすくする方法がある

マネジメントに関する著作を多く出しているケン・ブランチャードは次のように言っています。

「目標が行動を促し、成果が行動を持続させる」

部下が動かないとあきらめる前に、部下に行き先、すなわち目標を設定しているかどうかを振り返ってみてください。営業や生産業務は数字など目標値が比較的明確ですが、管理業務など数値化したり目標設定がしにくい場合は、部下とともに「いつまでに、何をするか」という目標をお互いに握ることが大切です。

たとえば、「サービスの品質を向上する」という目標では、行き先が見えにくいものです。「品質向上に取り組め」と伝えるより、「お客様からのクレーム数を3%減らす」「リピート率を6割にする」など目指すものを具体化すると取り組みやすくなります。

自分の技能や能力がわからない

指示待ちで自ら動こうとしない人の特徴の1つに、「自分が何をやりたいのかがわからない」「自分が何をしたらいいのかわからない」という考えに囚われているということがあります。そのため、「とりあえず人に言われたとおりにしよう」というスタンスにはまってしまいます。

このようなケースでは、上司が「将来どうなりたいか考えてみろ」とか「やりたいことは何なんだ」と聞いてしまいがちですが、これは逆効果。むりやり将来を考えさせたり、ビジョンを持たせることは難しいものです。時間軸を前にずらし、過去から今までやってきたことに目を向けさせるとよいでしょう。

たとえば、入社してからこの10年でそれ以前やらなかったことでやってきたことや、以前できなかったことで今できるようになったことをできるだけ多くリストアップさせることです。それこそ、「会議のためのお弁当の手配」ということでもいいのです。
  • 工場へのお客様を案内し、工程を説明した
  • 新商品の開発立案に携わった
  • 採用面接の面接官をやった
  • 営業資料の作成をした
  • 短期プロジェクトのプロジェクトリーダーとして全体のマネジメントをした
など、どんな些細なことでもいいので出してもらうことです。実際にやってきたことを目の当たりにすると、自分が身に付けている能力やスキルが自覚できるようになります。自発的に行動しない人の多くは、自分が何ができるかに気づいていないものです。些細なことでも自分が持っているスキルや能力などのリソースを自覚すれば、自分から使うようになります。

実行するための能力が知識が足りない

自分が持っているリソースを把握したといえ、今取り組んでいる業務を遂行するのに十分なスキルや知識がなければ、自発的に行動することは難しくなります。マネージャーとしては、その部下に必要なのは、コーチングなのかティーチングなのかを見極める必要があります。
コーチングとティーチングの活用区分

         コーチングとティーチングの活用区分


相手の能力が高く業務の緊急度が高い場合は、継続的なコーチングによって自ら考えたり取り組むことをサポートすることができます。しかし、業務を遂行するために十分な知識やスキルがない場合、いくら「自発的に動け」といっても無理なこと。その場合は、相手の知識とスキルのレベルを見極めてティーチングをする必要があります。つまり、指示命令によって行動させることも必要な時期があります。

「3ヶ月後には、君にこれを自分でできるようになってほしい」「半年後に後輩が配属されてきたら、これを君から教えてやってほしい」など、ティーチングする期間と次に何が求められているかを具体的に示すことができれば、期間限定の指示命令は有効であり、3ヶ月後、半年後には自ら取り組むようになります。

ストレスが高い場合もある

最後に、行動がしにくくなる理由として、ストレスが高い場合もありますので要注意です。特に、今まで動きが良かった人が急に指示待ちになったり、行動することに躊躇している様子が感じられたら、声をかけて話を聞いてあげることです。

指示待ち状態になっている部下をひとくくりに「やる気がない」と判断せず、その人が行動を起こしやすくするために以上のことに意識を向けて取り組んでみてください。


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