一戸建ての売却/一戸建ての売却の基礎知識

家の売却~少しでも有利に売る方法 その2(2ページ目)

購入希望者に自分の家を選んでもらい、少しでも有利に売るためには、いったいどうすればよいのでしょうか。売りに出す前に検討しておきたい対策をまとめました。(2017年改訂版、初出:2010年9月)

執筆者:平野 雅之


確定測量図は必要?

家の敷地が区画整理によるものの場合、あるいは事前の測量に基づいて区画分譲されたものの場合にはあまり問題となりませんが、昔のままの敷地や隣地との境界がはっきりしない(境界ポイント、境界杭、境界標などがない)敷地の場合には、事前の測量を検討することも必要です。

隣地所有者の立会印を得た実測図を「確定測量図」といいますが、公道など公有地との境界を含む場合は官民査定の手続きが必要となり、それなりの期間もかかりますから、早めに段取りをしなければなりません。

この測量を売主がやらなければならないという義務はなく、その敷地を購入した買主が自分で測量をするケースも十分に考えられます。

しかし、測量をめぐる隣地とのトラブルは意外と多く、慎重に考える相手であれば、確定測量図がないことによって購入を躊躇する(別の物件を選ぶ)ことにもなりかねません。これは登記簿売買(実測による売買代金の精算を伴わない契約)の場合でも同じです。

ただし、以前の所有者が行なった測量によって「確定測量図」を引き継いでいれば、原則として新たに測量をやり直す必要はありません。

測量を実施するためにはそれなりの費用もかかりますから、実際にどうするのかは地域のニーズや敷地の状況を踏まえながら、売却を依頼した不動産業者とよく話し合って決めるようにしてください。

なお、売買契約の条件が敷地の実測売買(測量の結果によって売買代金が増減する契約)の場合には、必然的に測量を実施することになります。このときの費用負担については、当事者同士の話し合いによって決めます。


地盤調査は必要?

中古住宅としての売却で現状の地盤に問題がなければ、買主から地盤調査を求められるケースは少ないでしょう。しかし、更地の場合や古家付土地として売却をするときには、事前の地盤調査が必要となることもあります。

もちろん地盤についてもしっかりと調査をして、その資料を提示したほうが買主の安心感は高まりますが、実際にそれが必要かどうかはケースバイケースです。契約交渉のなかで相手が求めてきたら話し合いに応じるというスタンスでも構わないでしょう。


既存住宅売買瑕疵保険とインスペクションはどうする?

売却した住宅に一定の瑕疵(欠陥)があったときにその補修費用をカバーするための既存住宅売買瑕疵保険制度が2010年に始まっています。これは原則として売主が依頼をして、買主に対する保証をするものです。

買主にとっては安心につながるものですが、保険料と現場検査(インスペクション)手数料が必要となるため、契約交渉の過程において不動産業者と話し合いながら、どうするのかを決めればよいでしょう。

一方で、最近注目されているインスペクション(建物検査)は、既存住宅売買瑕疵保険における検査と少し異なるものです。これを売主が実施すれば売りやすくなるケースも考えられますが、何らかの不具合があったときにその内容が正確に開示されるかどうかという懸念もあります。

そのため、現状では買主が自らの負担でインスペクションを依頼することが多くなっています。売主としては、買主が検査を求めたときに協力するというスタンスで構いません。

ただし、インスペクションによって不具合が見つかったときにどう対応するのかなどについて、不動産業者からしっかりと説明を受けておくことが重要です。

なお、宅地建物取引業法の改正により、2018年4月からは売却の依頼を受ける際などにインスペクション業者のあっせんの可否を示すことや、インスペクションを実施した際に買主へ説明をすることなどが不動産業者に義務づけられます。

従来よりはインスペクションを活用するケースが増えるでしょうから、これから売却しようとする際には積極的に検討してみましょう。


既存住宅の住宅性能評価は受けるべき?

住宅の品質向上を目的として、2000年10月から品確法による「住宅性能表示制度」がスタートし、2002年12月からは既存住宅(中古住宅)もその評価を受けられるようになっています。

しかし、2017年3月まで14年あまりの間に、評価書の交付を受けた既存住宅は全国で5,087戸にとどまり、一般にもあまり認知されていないままの状況です。現状では既存住宅の住宅性能評価を受けても、そのメリットがあまり見えないことでしょう。

ただし、新築住宅の性能表示制度はかなり普及しているため、新築時に評価を受けた住宅がこれから数年後、中古市場に多く出回るようになれば、それに対抗する手段として既存住宅の住宅性能評価が次第に見直されていくことも考えられます。


住宅用火災警報機の設置は積極的に!

住宅用火災警報機の設置が、新築住宅については全国一律で2006年6月1日より義務化され、中古住宅についても2011年6月1日までに順次義務化されました。

未設置の場合でも罰則はありませんが、これから売ろうとする住宅が未設置のままなら、「売主はこの家に愛着がない」と思われても仕方がありません。

そのうえ、「他の部分のメンテナンスも手抜きをしているのではないか」と疑念を持たれることにもなりかねないため、住宅用火災警報機の設置は積極的にしておきたいものです。


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