不眠・睡眠障害/過眠・眠気が強い・目覚めが悪い

起床障害とは…朝目覚めが悪い・起きられない10の原因と対処法

【医師が解説】寝起きのだるさやひどい眠気。起床障害かもと思うような目覚めの悪さに悩んでいる方がいる一方で、早起きが得意という方も大勢います。起きられない原因にはストレスや生活習慣に限らず、何らかの病気が関わっている可能性もあります。10この原因と対処法について解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

起床障害?ストレス?毎朝、起きるのが辛いという悩み

起床障害?朝起きるための方法

目覚めの悪い朝は、今日で終わりにしましょう!


睡眠に関する悩みで、「眠れない」という悩みも辛いですが、「起きられない」という悩みも、社会生活を送る上では大きな問題になります。寝起きの悪さを気合の問題で片付けず、その背後に隠れている原因を明らかにしましょう。

今回は、睡眠医療認定医である、むさしクリニック院長・梶村尚史先生が監修された『起床術』から、起きられない10の原因と対処法、症状の見分け方をご紹介します。明日の朝から手軽に対策できる原因もあれば、医療機関への受診が望ましい原因もあります。
 

「朝起きられない」を克服するための10の原因と症状一覧

1.睡眠不足型
朝、なかなか起きられない原因で、最も多いのがこれです。仕事やプライベートで忙しいからと、睡眠時間を削っていれば、睡眠不足になるのは当たり前。長期間、睡眠不足が続くと、日中の強い眠気や身体のだるさ、疲れやすさがひどくなり、頭の回転も鈍ってしまう。最善の解決法は、自分に必要な時間だけ、グッスリ眠ること。この際ぜひとも、睡眠の大切さを再確認しましょう。

2.悪い生活習慣型
睡眠障害の2大原因は、生活習慣の乱れと不適切な睡眠環境です。例えば、夕方以降に長時間の居眠りをしたり、深夜に消化の悪い食事や飲酒をしたりしていませんか? 夜遅くに明るい場所へ出かけるだけでも、睡眠ホルモン・メラトニンの量が減ってしまいます。生活習慣を変えるのは大変なことではありますが、できることから始めてみましょう。

3.体内時計故障型
徹夜仕事が続いた後や、長い休暇から元の生活に復帰したとき、この状態が起きることがあります。睡眠と覚醒のリズムが不規則になり、さらに体温や血圧、ホルモン分泌など、他の生体リズムも狂ってしまうからです。不規則勤務の方も、要注意です。生活習慣を規則的にすることが基本ですが、極端な宵っ張りの朝寝坊になる睡眠相後退症候群などでは、高照度光療法やビタミンB12の内服、時間療法などの治療が必要となることがあります。

4.緊張型
強いストレスにさらされていると、夜中に何度も目覚めたり、眠りが浅くなったりします。これは、ストレスのために、脳からアドレナリンが出て、覚醒のレベルが上がってしまうからです。しかも、眠れないことが更なるストレスになってしまうことも。そんなときは、就寝前の1時間を、リラックスタイムにしましょう。自分の好きなことをしたり、ボ~っとしたりして気持ちを楽にすると、寝つきが良くなります。

5.現実逃避型
悩みがあるときには、1日の始まりが憂うつに感じます。そのため、目が覚めても、なかなか布団から出られません。朝になると、頭やお腹が痛くなって会社や学校を休む人も、このタイプです。内向的な性格で、他人からの批判に過敏な人は要注意。さらに、回避型人格障害になると深刻化しやすいので、カウンセリングを受けたり、職場や学校とよく相談したりして、早めに手を打ちましょう。

6.抑うつ型
憂うつな気分や沈んだ気持ちが強くて起き出せない人は、抑うつ状態が原因です。早朝に目が覚めてしまう、寝つきが悪い、これまで興味があったことを楽しめなくなる、などに当てはまる場合はうつ病の可能性があります。また、秋から冬にかけて睡眠時間が長くなり、食欲が旺盛で、体重増加が著しいときは、季節性うつ病かもしれません。うつ病のタイプによって治療法が異なりますから、早めに専門医の診察を受けましょう。

7.窒息型
睡眠時無呼吸症候群という、睡眠中に呼吸が止まる病気があります。この病気では、息苦しさのために熟睡できず、睡眠不足となって、朝の目覚めが辛くなります。いびきをかく人や肥満で首が短い人がなりやすく、昼間の強い眠気や目覚めたときのノドの渇きや頭痛も、よくあります。減量や横向き寝、うつ伏せ寝、マウスピースで、呼吸が楽になることがありますが、それでもだめなら呼吸器の専門医療機関で検査を受けて、きちんと治療を受けましょう。

8.寝過ぎ型
寝過ぎが原因で、目覚めが悪くなることがあります。休日に平日の睡眠不足を取り戻そうとして、いつまでも布団にしがみついているのは考えものです。睡眠の深さと覚醒度の高さは、反比例の関係にあります。グッスリ眠ればスッキリ目覚められますが、ダラダラ眠っていたのでは、目覚めが悪いのは当然。二度寝は気持ちよいものですが、休日でも平日の起床時刻の2時間以内には、布団から出ましょう。それでも眠いときには、短時間の昼寝をすれば睡眠量を確保できます。

9.女性ホルモン型
男性と違って女性では、月経の周期に合わせて、眠れなくなったり、逆に眠気が強くなったりすることがあります。これは、月経随伴睡眠障害と呼ばれるものです。また、妊娠の初期にも、眠気が強くなる人がいます。これらは、月経前や妊娠中に増える黄体ホルモンの作用で、体を休めて受精卵や胎児を守るためと、考えられています。自然な眠気のリズムとはいえ、時には婦人科系の病気のこともありますから、眠気が異常に強かったり、長引いたりするときには、一度、婦人科の診察を受けてください。

10.昼間も眠い型
どれだけ眠っても眠気が取れない、あるいは、眠ってはいけないときにも眠ってしまう。そんなときには、過眠症の可能性があります。寝入りばなに幻覚を見る、よく金縛りにあう、笑ったり驚いたり怒ったりすると体の力が抜ける、という症状があれば、ナルコレプシーかも知れません。また、寝覚めが悪く寝ぼけがひどい、日中に眠ると起こそうとしても1時間以上目覚めない、居眠りの後もスッキリした感じがしないときには、特発性過眠症の疑いがあります。規則正しい生活をしても朝、起きられないときには、睡眠障害専門医の受診をお勧めします。

その他、身体の痛みや痒み、貧血、前立腺肥大症、膀胱炎、起立性調節障害などの人も、朝が苦手です。それぞれの病気にあった治療を行うと、多くの人で目覚めが良くなりますから、心配な方は医療機関で相談してみましょう。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます