ストレス/仕事・職場のストレス(パワハラ・セクハラ等)

「ランチタイムの憂鬱」に心当たり、ありませんか?(2ページ目)

1人で食べるところを見られないように、トイレでこっそり食べる「便所飯」が社会問題になっています。「会食」をめぐるストレスと、ランチタイムの憂鬱について考えます。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

会食は楽しいけど緊張するもの

遠くの公園まで歩いて行ってお弁当を広げたこともある……

昼休みに知り合いのいない遠くの公園でお弁当を広げたこともある

「便所飯」とまではいかなくとも、遠くの公園まで足を運んで1人で弁当を広げたり、昼食をガマンして図書館にこもったりした経験は、私自身にもあります。

「会食」を巡る心情は、複雑なものです。にぎやかで楽しいけど、人に合わせなければならない気遣いが苦痛でもある。一緒にいられて安心だけど、煩わしくもある。このように、矛盾した心情で揺れ動き、「会食は好きだけど、嫌い」というようなどっちつかずの気持ちが、多くの人の本音なのではないでしょうか。

そもそも、昼食休憩の目的は、空腹を満たすだけではありません。おいしさを味わって心からリラックスすることによって、自律神経のバランスを整える目的もあるのです。そこを無理して「いつもの会食」を重ねると、「人間関係のストレス」という学業や仕事とはまた別の大きな緊張を生みます。この状態が続くと、交感神経の働きが過多になる状態が続き、自律神経のバランスが乱れて、数々の不定愁訴を招くことにもなります。

ランチタイムに1人になり、人との関わりから解き放たれようとするのは、いわば自分の心が壊れるのを防ぐための必死の抵抗でもあるのです。むしろそうしたギリギリの心情を持つデリケートな人をことさらに問題視し、はやし立てることにこそ、弱者を追い込む現代社会の残酷な姿が露呈しているように思えてなりません。


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