ストレス/仕事・職場のストレス(パワハラ・セクハラ等)

社員を大事に長く使う会社が強いのはなぜ?(3ページ目)

ストレス対策が何も取られず、社員が心の病に至るまで精神的に追い詰められる会社も少なくありません。産業医の塩谷賢一先生に、これからの会社と社員はメンタルヘルスをどう意識すればいいのかについて伺いました。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

復職するときこそ、産業医との面談は必要

復職時こそ産業医の役割は重要
復職時こそ自分も周りもあせらないように、産業医との連携が必要になる
------実際に心の病になった後に主治医から復職許可が下りたとしても、産業医との面談は必要になりますか?

もちろんです。復職した社員は必ず面談しています。主治医は、会社の環境や仕事内容を具体的に把握しない上で、復職許可を出していることもあるからです。

したがって産業医が、その人の状態を職場の環境や仕事内容を照らし合わせ、復職許可をもう少し延期させることもあります。

------心の病の場合、復職した後が最も注意が必要ですものね。

そうです。復職許可は「以前のようなペースで働いてよい」という許可ではありません。あくまでも自分の心身を優先させ、負担にならない範囲で仕事をすることが大切なのです。

心の病気は、体の病気と違って治癒までには時間がかかります。復職時はまだ「寛解」の状態にあるということを、本人も周りの人もよく理解しなければなりません。

------しかし、復職した本人はどうしてもあせってしまうものです。

それが問題ですね。心の病の場合、治療は半年から1年以上休職しなければならないこともあります。その間、傷病手当金が健康保険から支給されますが、休職後最長1年6ヵ月までという期限があり、それを過ぎると無収入になってしまいます。

したがって、経済的事由から、「なんとか早く復職しよう」とあせってしまう人が多いのです。しかし、あせって復職したことで、逆に治療を長引かせてしまったり、最悪の場合自殺を図ってしまうケースが後を絶ちません。

------職場も家族も、温かく見守る必要がありますね。

心の病で治療を始めた場合、本人も周りもとにかくこの病気の特徴を理解すること。そして、あせらないこと、1人で負担を負わないこと、誰か1人に負担を負わせすぎないことが大切です。

心の病はいつ誰が発症するか分かりません。仕事のストレスがこれだけ問題になっている現在、自分の会社ではどうすべきか、経営者も社員も、一度じっくり考えてみる必要があるのではないでしょうか。


塩谷賢一先生 認定産業医

昭和大学医学部卒業後、日本大学医学部麻酔科入局、(財)癌研付属病院麻酔科入局。現在、癌研有明病院麻酔科副部長。さんぎょうい(株)会長。

塩谷先生のホームページ⇒さんぎょうい株式会社

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