うつ状態の人へのタブーな言葉……思わぬ一言が傷つけてしまうことも
うつの状態にある人への言葉のかけ方には、注意が必要です
うつの状態にある人に接するときには、「言葉選び」に注意しましょう。何気ない一言が相手を追い込んでしまうことがあるからです。よかれと思ってかける言葉には、「早く良くなってほしい」という期待の気持ちが込められているのかもしれません。でも、その期待がプレッシャーを与えてしまうことがあるのです。
では、どんな言葉がタブーとなるのでしょう。それは相手の行動を促進させる言葉です。そうした言葉は、相手が元気なときには喜ばれますが、心が病んでいるときには、負担に感じてしまうものです。たとえば、下のように受け取られてしまうことがあるのです。
例) 「頑張ってね!」→「精一杯やってきたのに、もっと頑張らなきゃダメなのかな」 「早く元気になってね!」→「早く元気にならないといけないのかな」 「落ちこまないで」→「落ち込んでいる自分は、迷惑になっているのかな」 「元気になるのをみんなが待ってるよ」→「みんなに心配をかけてしまっているんだな」 「いつまでもくよくよしないで」→「くよくよしないでいられたら、苦労はしないのに」 |
うつ状態の人を支える言葉とは……気持ちを楽にさせる言葉の選び方
うつの状態にある人には、安心できる言葉をかけることが大切です
うつの状態にある人に必要なのは、ストレスのもとになるものから距離をとり、心身をゆっくり休養させることです。したがって、相手が安心して楽に過ごせるような言葉を選びましょう。たとえば、以下のような言葉がおすすめです。
「今はゆっくり過ごそうよ」
「あせらなくて大丈夫」
うつの状態にある人は、自分の状態が周りに迷惑をかけているのではないかと気にしています。だから、安心して過ごせるような言葉でリラックスさせてあげることが大切です。
また、次の一言もお勧めしたい言葉です。
「必ずよくなるからね」
うつの状態にあると出口が見えなくなり、現状の精神状態がこの先もずっと続くのではないかと思ってしまうものです。適切な治療を受け、一定の期間しっかり休養をとれば、いずれは必ず回復します。「必ずよくなる」という言葉で、未来に希望をもたせてあげるのもよいでしょう。
うつ状態の人に接するときに、心がけたい5つのこと
言葉以外でも、うつの状態にある人をサポートできることはたくさんあります。いくつも言葉をかけるより接し方を変えるほうが、相手の支えになることは多いものです。以下の5つのポイントを参考にしてみてください。1 相手の話をじっくり聞く うつの状態にある人が発する言葉は、極端にネガティブに感じられるかもしれません。それでも、否定せずに気持ちを丸ごと聞き、受け止めましょう。「大変だったね」「よくがまんしたね」など、思いやる言葉をかけるのもよいでしょう。 2 ゴロゴロしていても見守っていく 無理に外出に誘ったり、趣味を探してみてはどうかなどと提案したりしないようにしましょう。うつの状態にあると何もかもが億劫になり、一人になりたいと思うもの。ゴロゴロしていても責めないで、ゆっくり休んでもらいましょう。 3 不安にならない、心配しすぎない 見守る側が不安になったり心配しすぎたりすると、相手の心情はさらに不安定になってしまいます。周りの人は動揺せず、おおらかな気持ちで接していくようにしましょう。 4 家族は初診に付き添う。再診にも時折付き添う 家族が精神科を受診する際には、初診時にはできるだけ付き添うとよいでしょう。一人で受診するより不安が和らぎますし、主治医に治療中の接し方について質問することもできます。その後も受診に時折付き添い、主治医から説明を聞くとよいでしょう。ただし、家族の同席の希望については、受診先にあらかじめ電話などで伝えておきましょう。 5 回復期には無理をさせない 精神疾患は、回復しかけたころに無理をしないことが鉄則です。本人は、元の生活ペースに早く戻らなければというように焦りを感じやすいものです。そういうときこそ、「無理をしないでいいんだよ」「徐々にペースを戻していこう」というように伝えていきましょう。 うつの状態にある人には、自分を責めてしまう傾向があります。だからこそ、言葉や態度で相手を追い込まないように注意を払っていきましょう。 【関連記事】 |