私が「カツマー」をやめた理由

我が家にあふれる「勝間本」の数々。気がつけば夫もカツマー

我が家にあふれる「勝間本」の数々。気がつけば夫もカツマー

経済評論家、勝間和代さんの本が働く女性のハートを熱くさせています。「効率を10倍」「年収10倍」「自分をGoogle化させる」「断る力」といった極端すぎるメッセージは、自分に自信がなく、働き方に迷い、年収もそこそこ……といった女性の気持ちに火をつけるには、十分すぎる扇情的なメッセージ力を持ちます。

そういう私も、実はいわゆる「勝間本」に熱くなっていた時期がありました。子育てで仕事のペースダウンが続き、仕事の成果が鳴かず飛ばずだったせいもあるのですが、「勝間さんのように、生産性をアップさせる自分につくり変えれば、私自身も今より10倍の達成感を持てるかも!?」と夢中に本を読んでいたのです。

とはいえ、何冊読んでも生産性が10倍になるどころか1.5倍にすらならず、逆に効率を意識しすぎて質が落ち、クレームが増えて仕事を失う始末。精神的にも苦しくなる一方で、お腹をすかせた子どもが「ママ~」とすり寄ってくると、イライラして「あっち行ってて!」と叱りつけるような毎日。そんな生活にも自分自身にもどっぷり疲れを感じ、虚無的になって寝込んだこともありました。


「女女格差」が再燃させたスーパーウーマン症候群

効率10倍にして、生産性を20倍にして、そしてそのあとどうするの?

効率10倍にして、生産性を20倍にして、そしてそのあとどうするの?

そんな私は、今思うにちょっとした「スーパーウーマン症候群」になっていたのだと思います。完璧を目指しすぎる働く女性のストレス症状です。スーパーウーマン症候群は、日本では80年代後半、男女雇用機会均等法の施行による女性の社会進出増加に伴って話題になってきた現象ですが、これがここ数年でまた再燃してきているように見えるのです。その陰にはあきらかに、勝間和代さんをはじめとするミリオネーゼたちの扇情的なメッセージがあります。例えば次のような。

「もし幸せになりたいのであれば、年収をあげること」(勝間和代著『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』ディスカバー21、2007)
「(1)年収600万円以上を稼ぎ、(2)いいパートナーがいて、(3)年をとるほど、すてきになっていく」(勝間和代著『勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド』ディスカバー21、2008)

日本ではアメリカ式の新自由主義的な政策を導入したことによって、中間層が激減し、収入の格差が広がりました。同じ「働く女性」といっても同列には語れず、現実には「女女格差」の壁ができています。そんななかで、自分こそは「今は勝ち組に入れる器だ」と躍起になる女性たちが、ミリオネーゼの扇情的なメッセージに飛びつくのでしょう。

しかし、そうして他人のやり方をマネして、「努力」を積み重ねて長期的に(私生活とのバランスも含めて)うまくいった、という人がどれだけいるのでしょうか。結果的には、ハードすぎる目標に息切れし、「スーパーウーマン症候群」が増えているのではないでしょうか。