漢方カルテを徹底分析!
季節や職業なども、もちろん参考になる |
■主訴:から咳2日目。現病歴:2日前から咳が続き、のどが痛く乾燥して、痰も吐き出しにくい。やや悪寒がし、頭痛や鼻のつまりもある。痰に血が混ざることもある
ここでまず、患者さんの咳が寒さや乾燥など外からの影響なのか、それともその人の内面、内臓の不調などが原因なのかをみるのですが、乾燥して肺の機能を傷つけていることがわかります。なお、乾燥性の咳は秋に発生することが多く、初診が10月というのも参考になるかもしれません。
■望診(舌診):舌苔薄白で、舌質が紅、乾燥して水分が少ない。切診(脈診):脈浮数。診断(病・証名称):証は咳嗽、証名は風乾傷肺(証)
舌が赤く乾燥しているのは、熱を持ち、体内の水液も足りないことを示しています。脈が浮というのは脈を軽く押さえた時は脈動を感じるが、強く抑えると弱くなるのが特ちょうです。数脈とは1分間に90回以上の脈動を感じることです。
■治療方法:疎風清肺、潤燥止咳。処方:桑杏湯(そうきょうとう)
乾燥からくる咳のタイプによく用いられるのが「桑杏湯」です。中には桑葉(そうよう)、淡豆ち、(たんとうち)、杏仁(きょうにん)、貝母(ばいも)、沙人参(さじん)、梨皮(なしの皮)、山梔子(さんしし)が入っています。
■注意事項:刺激物、酒などの辛温性のものは控える。運動で体力をつけ、カラダを鍛える
辛温性のものはカラダを温めますが、体内の水分を奪います。また、今回は違いますが、ストレスが原因でおこる病気などには、精神面のアドバイスなども入ります。
このほかにも、1日2回、朝晩服用などの飲み方や、鉱物であれば長く煎じるなどの特別の煎じ方法があれば、それも記入すべきでしょう。
ちなみに、このカルテは中国伝承医学である中医学の臨床医にとって必要なものですが、日本には漢方医や中医師の国家資格はなく、専用の医師免許はありません。なお、日本の病院では「エキス剤」といって、煎じ薬を濃縮して乾燥させた漢方薬を処方することが主です。
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