●「自殺したい」という気持ちが起こったら、うつ病を疑ってみて
自殺をする多くの人が、うつ病を抱えていたり、うつ状態に陥っていることが最近問題になっています。うつ病という言葉を最近、いろいろなところで耳にするようになりましたが、実際にはどんな病気なのでしょう。
うつ病とは、脳のエネルギーが一時的に低下した病気。うつ病はよく「心の風邪」といわれますが、これは、“風邪のように誰でもかかる可能性のある一時的な病気”であることをあらわしています。
たとえば、アメリカ精神医学会発行の「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-IV)」によると、女性の10~25%、男性の5~12%は一生のうち一度はうつ病にかかる可能性があるとされており、このデータからもポピュラーな病気であることがうかがえます。
では、実際にはどんな症状が現れるのでしょう。主に以下のような精神状態が毎日長期間続いていると、うつ病の可能性があるといわれています。
■ 1日中憂うつで、気分が落ち込む
■ 最近、何事にも興味がわかなくなった、楽しいと思えない
■ 食欲がなくなった、もしくはやたらと食べたくなる。体重も変わった
■ 眠れない、もしくは寝すぎてしまう、目覚めが悪い
■ 落ち着きがなくあせってしまう、もしくは行動がのろくなった
■ 最近、毎日疲れやすく、やる気がでない
■ ささいなことでも自分を責めたり、くよくよ悩んでしまう
■ 決断力がにぶり、物事に集中できなくなった
■ 死にたいと思うことがある
●自殺願望は一時的な感情。惑わされないことが大切!
上にあげられるように、うつ病の人のパターンとして「自殺したくなる」という特徴があります。これは、ストレスなどが影響し、感情や思考に関係する脳内化学物質の伝達がうまくはたらかなくなるために起こる一時的な感情なので、決してこの「自殺願望」に惑わされてはいけません。
通常なら「こう思う。でも、見方を変えれば、別の考えもできるかも」と柔軟に思考を変えることができるのに、脳内物質の伝達がうまくいかなくなると、こうした思考ができなくなり、ゆがんだ考えにとらわれてしまうのです。そのため、「もう解決策はないんだ」「自分がいなくなれば、すべてうまくいく」など、悲観的な方向に心がロックされてしまい、ゆがんだ思考から抜け出せなくなってしまうのです。
●自分で答えを出さず、医師や相談機関にコンタクトをとって!
こうした自殺願望にとらわれた方は、まず絶対に自分ひとりでは答えを出さないこと。精神、神経に関わる専門医を受診したり、カウンセラーに相談し、適切な治療や対処を受けることが大切です。最近では、抑うつによって滞ってしまった脳内物質の伝達のはたらきをスムーズにする薬物が開発されており、精神や神経に関わる医療機関で処方してもらえます。
また、どこに相談していいのかわからないという人は、全国組織の「いのちの電話」に相談したり、また、都道府県の精神保健福祉センターなどでも相談に乗ってもらえますので、ぜひこうした窓口を利用してみるのもいいと思います。
■東京いのちの電話ホームページ
※全国いのちの電話の電話番号もあります。
■都道府県の精神保健センター ⇒ お住まいの県の県庁、もしくは役場に電話して問い合わせましょう。
『AERA臨時増刊 職場のうつ』朝日新聞社
『「うつ」を治す』PHP新書
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