発症後の苦しい生活

彼は病院で統合失調症と診断されました。統合失調症は感情、思考、行動の統合がうまくいかなくなり、現実と非現実の狭間がぼやけてしまうのが特徴です。病気の発症は10~20代の若い年代が多く、ジョン・ナッシュの病気発症も実は大学院生の時だったようです。しかし、非現実世界は彼にとっては現実なので、病院へ連れて行かれた時も、彼自身は病気であることに気付いてなく、何かの陰謀に巻き込まれたと信じていました。

病気との闘いは苦しいものになりました。当時(1950年代)は有効な治療法があまりなく、苦痛を伴うような(現在では行われていない)治療もジョン・ナッシュは受けています。また、薬の副作用(薬を飲むと数学のアイディアが涌かない、夜の生活がうまくいかない)の為に、薬を飲むのをやめてしまい、非現実世界に逆戻りしてしまいました。


妻のサポートでなんとか非現実世界から距離を保つ

しかし、妻のアリシアが彼を非現実世界から救ってくれました。彼は再び、薬を飲み始め、また、妻のアドバイスに従い、ストレス軽減の為、慣れ親しんだ母校の図書館に毎日、通い始めました。また、副作用が少なく治療効果の高い新しい薬も手に入るようになり、なんとか非現実世界から距離を保てるようになります。

その頃、大学院生時代の研究成果は経済学で幅広く応用されるようになり、1994年にノーベル経済学賞を受賞しました。彼は病気発症後、天才的な才能を生かすことができなかったのは大きな悲劇ですが、素晴らしい女性アリシアにめぐり合えたことは奇跡だったと思います。それにしても、彼の非現実世界を見ると、現実は私達の思っているほど確実なものではないような気もしませんか?


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