アルコール誘発喘息とは……飲酒で急に咳がひどく出る
宴会や付き合いでアルコールを飲んで後、ひどく咳が出たことはありませんか?
アルコールで咳が出るアルコール誘発喘息の症状
症状は、喘息と同様です。- 咳・痰・喘鳴(ぜんめい)
- 呼吸数が多い多呼吸(たこきゅう)
- 肋骨の間が呼吸時にへこむ陥没呼吸(かんぼつこきゅう)
- 起きていないと息がしにくい起坐呼吸(きざこきゅう)
- 顔色が悪いチアノーゼ
アルコール誘発喘息の原因…体内でヒスタミンが増加
アルコールは体の中で代謝され、アセトアルデヒドという物質になります。このアセトアルデヒドは二日酔いの原因の1つと言われていますが、ヒスタミンを増加させてしまう働きもあります。ヒスタミンは気道を狭くしてしまうため、これにより喘息発作が起こります。日本の約半数がアセトアルデヒドを酢酸に分解するアセトアルデヒドハイドロゲナーゼ(ALDH)の活性が低いとされていますので、アセトアルデヒドの影響が残りやすいと言えます。
ヒスタミンは喘息発作以外にも、蚊に刺されたような「じんましん」や、花粉症時の「鼻水」などの症状も起こします。
さらに、アルコールには利尿作用がありますから、尿によって体内の水分が不足傾向になることで、痰なども出にくくなってしまいます。
アルコールの種類によっても、喘息発作が起こる原因が潜んでいる場合があります。例えばビールは麦から作られていますので、ビール飲料を飲んだ後だけ喘息発作や体のかゆみが出る場合は、麦のアレルギーを疑う必要があります。日本酒の場合であれば、お米のアレルギーがないかどうかです。ただ、いずれも発酵していますので、アレルギーを起こす可能性は低く、麦アレルギー、米アレルギーの人が必ずしもビールや日本酒でアレルギーを起こすわけではありません。
酵母は真菌ですから、カビのアレルギーがある人も、アルコール誘発喘息を起こす可能性があります。しかし、酵母は除かれていますので、可能性は低いと考えられます。
アルコール誘発喘息の診断基準
診断基準は、「アルコール飲料を飲むことで喘息発作が誘発されるかどうか」です。アルコール飲用負荷試験を行うこともあります。名前の通り、アルコールを飲用して、喘息発作が出るかどうかの試験です。他に「アトピーの検査」でも行われているアルコールの皮膚試験(パッチテスト)もしています。アセトアルデヒドハイドロゲナーゼ(ALDH)の遺伝子検査も1つの検査方法です。アルコール誘発喘息の治療法・対策法
まずは、アルコール飲料を摂取しないことが肝心です。しかし、アルコールは様々なものに含まれていますので、ビールやお酒、ウイスキーを飲まなければ大丈夫と安心できません。酒粕程度でも喘息発作が出る場合があります。自分の飲めるアルコールの量を知っておくことが大切です。味噌やしょう油、みりん、ケーキ、飲料にもアルコールは含まれていて、飲料の場合は表示をしていないものもありますので、注意が必要です。
セフェム系抗菌薬である薬や食材(特にキノコ類、ヒトヨタケホ、テイシメジ)でも、アセトアルデヒドから酢酸に分解する酵素を抑える薬があり、このような薬でもアルコール誘発喘息は起こります。
アルコール誘発喘息の場合でも、薬による治療法は喘息治療と同じです。ヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬も有効ですし、ステロイド吸入を行うことが多いです。どういう場合に喘息症状がひどく出るかを覚えておき、診断に役立てられるようにしましょう。