飲みすぎた後で吐けば深酒しても二日酔いにはならないから大丈夫と誤解してませんか? 実はこの行動はかなり危険。二日酔いよりももっと厄介な「逆流性食道炎」になる人が多発しています。血を吐いた場合は、さらに重症なマロリーワイス症候群の危険性もあるのです。

その仕組みと対策法をご紹介しましょう。

飲み過ぎると吐いてしまうのは何故?

マーライオン

マーライオン状態はまずいですね!

飲酒後に吐き気や嘔吐した経験はありませんか。嘔吐するのは、直接アルコールのせいではありません。

お酒のエタノールは消化管から吸収されて、肝臓で分解されるとアセトアルデヒドに変化します。このアセトアルデヒド作用の一つに「嘔吐中枢の刺激」があるのです。

飲酒後すぐには吐き気や嘔吐が起こらないのはこのため。気持ちよく飲んでいても、アルコール吸収後、数時間で吐き気を覚えることになります。ちょうど、一次会が終わる頃から嘔吐が起きやすくなる、というとイメージしやすいかもしれませんね。

食道は、飲酒の害を二度受ける!

師走と年始は忘年会、送別会、新年会などで飲酒する機会が多いですね。飲酒の直接的な害はまず感覚的には胃に起きると考えがちですが、通り道の食道の害を考えてみましょう。

アルコール度数が高いと、食道粘膜や胃の粘膜に障害が起きます。胃の場合は一旦お酒が通過してしまえば、後は粘膜の修復が始まりますが、食道には別の試練が待っています。嘔吐による、食道粘膜のWの障害です。

食道は胃液で溶けるんです!

嘔吐した場合、食道を通るのはアルコールだけではありません。胃の中の消化液も通ります。食道は胃のようには大量の粘液で保護されているわけではありません。通常、食道を通る唾液には蛋白質を溶かす作用はありませんが、胃液中の消化酵素には、蛋白質を溶かす作用があります。

つまり、嘔吐した時の消化液で、食道粘膜は少し溶けてしまうのです。結果として一過性の逆流性食道炎となります。これを軽くするには粘膜に付着した消化液を洗い流すこと。とりあえず水を飲む事をお勧めします。これには酔い醒しの効果も少しあります。

もっとも水を飲むとまた嘔吐してしまう可能性がありますが、水で薄まっているので食道粘膜を溶かす作用は低下しています。もし入手可能ならば牛乳やヨーグルトなどはさらにお薦めです。乳製品が消化液の作用を受けて、消化液作用を弱める効果があるからです。

暴飲暴食後に、血を吐いたら要注意!

Mallory-Weiss
Mallory-Weiss症候群にご注意!
飲酒後の嘔吐は経験則から大丈夫と思いがちですが、もし嘔吐物に血が、特に鮮やかな血液が混じった場合は要注意です。食道下部からの出血の可能性があるからです。

出血の程度の差はもちろんありますが、暴飲や暴食後の嘔吐時の食道からの出血には、マロリーワイス症候群という立派な病名がついています。最悪の場合、食道が裂けてしまうという恐ろしい病気です。

嘔吐物に血が混じり、その上に繰り返して血が混じる場合は出血の部位を確認することが必要となります。これには検査と治療の両方の観点から内視鏡検査が必要となります。救急車を手配して緊急内視鏡可能な施設を探してもらいましょう。

一気飲みは御法度! ゆっくり楽しく飲みましょう

飲酒後の嘔吐を避けるには、血中での急激なアセトアルデヒド上昇を避けることです。

そのためにも、一気飲みは最初の乾杯だけにして、その後はゆっくりと自分の早さに合わせて飲みましょう。やけ酒はもちろん御法度です。ゆっくりと飲めば結果的に嘔吐だけでなくて二日酔いの予防にもつながります。

飲み過ぎ後に嘔吐しなかった場合は、脱水と、脱水後の水分過剰摂取によるむくみが起きがちです。この対策法については別の機会にご紹介しましょう。


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