すぐに病院にかけこまなければならないような、命を左右するような大病ではないのだけれど、なんだか『人には言えないカラダの悩み』をお持ちの方が多いようです。家庭の医学では、そのようなお悩みを解決する方法を数回に分けてお答えしてまいります。 |
Q.最近、お腹周りのたるみが気になります会社の椅子に座ったとき、ふと気付くお腹周りのたるみ。また、最近はズボンのベルトにもお腹がかっこ悪く乗り出してきた気がするんです。お腹周りに女性の目線も感じるので、気にしています。これから宴会シーズンが始まるので、更に暴飲暴食が進むと正月頃には…。 スグに太っ腹を引っ込めたい!とは言いませんが、この太っ腹、なんとかならないでしょうか? |
太ったひとほど減量し易い
結局、お腹周りを減らすには地道に内臓脂肪を減らす以外に方法はなさそうです。
ところで運動した時に、どれくらいの運動のエネルギーを消費したかを計算する式があります。
運動のエネルギー消費量=基準値(METS)×時間(h)×体重(kg) |
※METSはmetabolic equivalentの複数系の略で、安静時に対して運動時のエネルギー消費の度合いを示しています。METSの単位は[kcal/kg・h] |
METSは運動の種類で決まっています。激しい運動はMETSが大きく、同じ歩いても普通の歩行よりも早足の方が大きいMETSとなります。
運動のエネルギー消費量は運動時間が増せば運動量が増すの当然です。運動のエネルギー消費量の式は体重があればあるほど運動した時の消費が多い、すなわち太ったひとほど減量し易い事を意味しています。
歩いて内臓脂肪減らしましょう
METSは酸素消費量に基づいて算出します。「いち早く減量したいから高いMETSの運動をしよう!」なんて思いがちですが、熱量の消費を増やすために高いMETSの運動をすると、呼吸数を増やしても酸素の取り込みが追い付かなくなります。また、筋肉への酸素の供給が減少して筋肉の無酸素運動の割合が増加します。そして、無酸素運動は筋肉内の乳酸蓄積を増加させてしまい、運動後は筋肉痛になってしまいます。また、乳酸蓄積がある許容範囲を越えると筋肉が動かなくなってしまいます。ある程度の運動持続時間を保ちつつ、筋肉痛や疲労感が残らないのはMETSの低い運動です。というわけで誰でもできる歩行運動から始めましょう。身体が慣れてきたら歩行速度をあげましょう。
普通の歩行運動をしている時のMETSは3kcal/kg・hです。 1時間、体重60kgのヒトが歩くと3×1×60=180kcal熱量を消費した計算になります。脂肪は1gで約9kcalの熱量があります。180kcalの熱量が脂肪だけが燃えたと仮定すると単純計算で1時間歩いて20g痩せる事になります。 |
1時間歩いて最大で20gしか痩せないのでは意味がないと考えがちですが、問題はどの部分の脂肪が使われるかという事です。
筋肉は筋肉中のグリコーゲン、肝臓からのブドウ糖、血中遊離脂肪酸をまず使います。次に使うのは皮下脂肪からではなくて内臓脂肪から放出された遊離脂肪酸を使います。もし、純粋に内臓脂肪からの脂肪だけが燃えたと仮定すると1時間歩いて20g内臓脂肪が減る事になります。
一日20gでも一年では20g×365=約7kgとなります。一日の歩行距離を増やすのが確実な太っ腹予防です。歩行30分を一単位として、できれば一日2単位、1時間歩きましょう。週末は家でごろ寝をせずにできれば、もう一単位、30分余計に歩きましょう。
特定保健用食品で太っ腹対策!
お腹周りを減らす事は直接的にはダイエットには、つながりません。逆にダイエット効果があってもお腹周りの減少には直接にはつながりません。特定保健用食品の中でお腹の脂肪の減少効果があり、かつ長く飲むことが可能なものとしてはヘルシア緑茶があります。減量効果は報告では、100kcal/日程度なので30分の歩行と同じ程度となります。
歩行や、このようなお腹の脂肪の現象効果のあるものも組み合わせて、地道にお腹周りを引っ込めていきましょう。
*家庭の医学関連リンク*
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