栄養管理/がん予防のための栄養管理・サプリメント

キノコががんによいと言われるワケ(2ページ目)

昔からサルノコシカケやマイタケなど、キノコとがんの関係は色々と言われてきました。近年では、アガリクスなども、がんが気になる方には一般的になってきました。キノコとがんの意外な関係をご説明します。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド


免疫のセンサーは腸にあり

免疫のセンサーは腸にあり
近年の研究では、免疫力を調節するセンサーは、腸にあることがわかってきましたが、多糖類は腸を介して免疫系に影響を及ぼすと考えられています。
一口に免疫力と言いますが、免疫系が過敏に反応しすぎるとアレルギーを誘発し、逆に、あまり反応しないとがん細胞を十分に攻撃できないというように、ちょうど良い強さに調整することが必要です。

この免疫系のセンサーが腸にあることがわかってきましたが、βグルカンは、分子量が大きく糖類同士の結合も強いため、口から摂取した場合にそのまま消化・吸収されずに腸内に到達し、ヒトの免疫系に影響を及ぼすことが、近年の研究で明らかにされています。

今まで、腸と免疫の関係は、なんとなくはっきりしないまま語られていたのですが、近年、発見されたTLR(Toll Like Receptor)と呼ばれる部分を介して、腸内環境が免疫のメカニズムに働きかけることがわかってきました。

この分野の研究は、ここ数年間連続して世界のHottest Scientistに選ばれている大阪大学微生物病研究所の審良静夫教授のグループが世界をリードしています。

近い将来、日本発の様々な理論が、腸と免疫との関係をきれいに解き明かしてくれるのではないかと期待されています。

医食同源という言葉に納得

医食同源
中国では医食同源という言葉が使われますが、キノコだけでなく、種々の食材が腸を介して免疫系のセンサーに働きかけるとすれば、その言葉の意味が納得できるのではないでしょうか。
多糖類だけでなく、腸内細菌のバランスも免疫系に影響を及ぼすこともわかってきています。よい腸内細菌のバランスを保つためには、ヨーグルトのような発酵食品だけでなく、食物繊維もしっかりと摂取することが大切です。

そういった意味では、医食同源という言葉の意味は、現代の医学・栄養学の観点からも合理的であると考えられます。

また、がんのもとになるミスコピーの発生を減らすためには、禁煙や規則正しい生活など、生活習慣の改善が欠かせません。


アガリクスに限らず、健康食品は玉石混淆の様相を呈しているため商品の見極めが大切になります。信頼できるサプリメントを活用するとともに、食習慣や運動習慣が、健康維持には大切という当たり前のことを、キノコとがんの意外な関係は教えてくれているように思います。

【関連リンク】
βグルカンとがんについて、こちらもご参考に⇒吸収できないのに効果があるって本当? βグルカンは がん に効く?(All About 家庭の医学)

がんについては、基本的な考え方はこちら⇒誰でも分かる「がん発生のメカニズム」(All About がん・がん予防)

「がん・がん予防」メルマガでは、最新記事のお知らせを始め、フレッシュな情報をお届けします。登録はこちらから。


  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます