食と健康/食と健康の基礎知識

おなじみビフィズス菌、ヤクルト菌…知って雑学王! プチマニアックな“乳酸菌学”(2ページ目)

ヨーグルトなどでおなじみの乳酸菌。今回は知ってお得な乳酸菌の分類と、ビフィズス菌、ヤクルト菌、LG21、ブルガリアヨーグルトについて取り上げてみました!雑学としてチョットしたときに自慢できますよ。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

ヤクルト菌:ヤクルト菌名前の由来と特徴

ヤクルトの名前の由来は、エスペラント語でヨーグルトを意味するヤフルト(Jahurto)からの造語がヤクルトです。

ヤクルト菌は、胃液や胆汁に抵抗性があるので「腸内乳酸菌」ということになります。

宣伝では学名のラクトバチルス カゼイシロタ株と言っていますね。このラクトバチルスにもきちんと意味があります。

ラクト=乳 + バチルス=菌(桿菌:細長い菌) =乳酸菌


簡単ですね。


LG21:ピロリ菌を殺してくれるLG21

ピロリ菌は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃の悪性リンパ腫に関係する細菌です。このピロリ菌を減少させるのがLG21です。Lはラクトバチルスを表しています。

LG21は胃の中で乳酸を作ってピロリ菌を殺します。

メチニコフの仮説とブルガリアヨーグルト


乳酸菌が善玉菌といわれる理由はいくつかありますが、ロシア出身のノーベル賞受賞の研究者メチニコフの研究(メチニコフの仮説)が良く引用されます。
※メチニコフは海洋生物(ヒトデ)の研究から、細胞性免疫の基礎となる「捕喰細胞」(Macrophage、食細胞)の研究で1908年にノーベル賞を受賞しています。乳酸菌に関連してノーベル賞を受賞したのではありません。

少し難しい話ですが、メチニコフは、梅毒と動脈硬化の研究から、「老衰の原因は動脈硬化ではないか」次に「動脈が硬化するのは自家中毒による」との仮説をたてました。※これがメチニコフの仮説です。(この仮説では直接、乳酸菌については触れてはいないのです。)

腸内の細菌より産出する毒素は、自家中毒の原因であり、毒素の産生を抑えることが動脈硬化を予防し、長寿につながると考えました。
ここでいう自家中毒は小児の病気の自家中毒とは別のものです。

メチニコフはその後ヨーグルトの会社を起しました。
当時、ブルガリア地方は長寿で有名でした。メチニコフは、ブルガリア地方の常食であるヨーグルト中の乳酸菌が腸内の細菌の毒素産生を抑えて、自家中毒を減少させて、老化の原因の動脈硬化を予防し、長寿につながると考えたからです。
しかし、当時のヨーグルトの生産に用いた乳酸桿菌は酪農乳酸菌でした。酪農乳酸菌は腸までは生きて到達しないので、腸の細菌の毒素産生を抑えて、いわゆる自家中毒の予防には直接的には貢献しなかったはずです。


なお現在のブルガリアヨーグルトは2種類の「腸内乳酸菌」を使っています。

以上、今回は若干マニアックに乳酸菌について取り上げてみました!


*関連リンク*
サプリメントを飲むよりキムチ!-家庭の医学

機能性ヨーグルトが増えてきた!-薬について

機能性ヨーグルト性能比較-薬について

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます