本番稼動の中止基準と旧システムへ戻す手順を作っておく
完成度を検証し本番稼動させるのが無理と判断した場合は旧システムに戻して本番稼動を遅らせる |
移行作業が進めば進むほど、旧システムへの復旧作業が複雑になり作業時間を要します。移行作業中にいくつかのチェックポイントを設け、チェックポイント時点での本番稼動準備状況がどのような状態になっていたら中止とするか基準を作っておきます。チェックポイント時点で旧システムへ戻す手順も作っておきます。
多くの企業ではこの中止基準を明確にしていません。小規模企業であれば関係する取引先に本番稼働が遅れると伝える程度ですが、少し大きなシステムになると業界誌などで本番稼動日が報道されたりしています。本番稼動が遅れると担当役員の進退につながりますので現場も悪い情報はあげたくないなどの心理が働き、完成度が低いまま本番稼動してしまいます。報告体制と中止基準を明確にして公表しておけばこういった問題を防げます。
第一勧業、富士、日本興業の3銀行が再編し、「みずほ銀行」が2002年4月1日に開業しましたが、完成度の低いまま稼働させたためATMで障害が発生。混乱は1ヶ月以上も続き、金融庁から業務改善命令が出され、システム障害に伴う損害が18億円程度にのぼりました。