システムの導入目的を明確にする
伝言メモの連絡がうまく伝わらなかった。システム導入したからといってトラブル解決にはならない |
取引先から発注した部品が届いていないと連絡。原因を調べたところ、営業マンが外出中に電話に出た総務部の社員が、電話伝言メモをその営業マンの机の上に置いておきました。営業マンが帰社した時、メモに気づかずメモの上に書類を置いてしまいそのままに。
問題に感じた経営者が解決策はないかとITベンダーに相談すると、ITベンダーからは受注管理システムを導入し管理を徹底しましょうと提案が。経営者はITのことはよく分からないが、受注管理システムを導入したら問題解決するならと発注しました。受注管理システムが稼動したのに、また同じ問題が発生してしまいました。
トラブル発生の原因は、電話を受けた総務部の社員が伝票でなくメモに書いてしまい、その連絡がうまく伝わらなかった点にあります。ITベンダーから提案された受注管理システムは、入力した後の管理システム。つまり入力できなければ問題解決できません。
まず、受注の電話が客先からかかってきてからの業務の流れを整理します。そうすれば、受注管理システムを導入しただけでは問題解決できないことが分かります。この会社にとって重要なのは、取引先からの注文に確実に対応することで、顧客満足度を上げることです。
問題の根本原因を解決しなければシステム導入は無意味
総務部の社員が伝票の場所を知らなかったのなら、誰もが気がつく位置に伝票を置きます。顧客からの電話注文に対応する業務の流れを決め、壁に貼っておくのも有効です。理解しなければいけないのは業務の流れに問題があったことで、受注管理システムを導入しても業務の流れが改善されなければ同様の問題が発生します。ITを安易に導入してしまうと、「ITを導入したのはよいが、うまく活用できず失敗だった」ということになってしまいます。これは何をすべきか理解しなかった経営者に問題があるのです。
IT用語はCRMやSCM等の3文字熟語が多く、意味が分からないお経がありがたいように、なにやら導入するだけで問題を解決してくれる「魔法の杖」のような響きがあります。ですが、そんなうまい話はありません。経営者がITが分からないからといって業者・担当者にまかせっきりにしないで理解できなければ、理解できるまで聞くことが原則。