こだわり消費の時代
こだわらないモノはとことん安く、こだわるモノは少々高くても購入する“こだわり消費”の時代がやってきた! |
デフレの時代が長く続き、商品の価格は下落の一途を辿ってきました。そこで、こだわり型の消費スタイルでは、こだわらない商品はデフレに伴う価格下落によって安くなった商品を購入する一方で、こだわる商品は少しくらい価格が高くても思い切って購入する傾向が見受けられます。
このようなこだわり型の消費者が増加するなか、毎日のように使うティッシュにはこだわって少々価格が高くても質の良いものを使ってみたいという消費者層に『超鼻セレブ』はマッチしたと言えるでしょう。
非常識な価格設定による話題性の提供
加えて、非常識な価格設定による話題性の提供も見逃せません。通常ティッシュは高くても一箱100円前後です。ところが、この『超鼻セレブ』はその15倍の一箱1500円。言ってみれば全く非常識な価格設定です。ただ、この非常識な価格設定が話題性を呼び、多くのマスコミがこぞってこの『超鼻セレブ』を報道しました。宣伝効果たるや、軽く億単位に到達することが予測できます。実際に『超鼻セレブ』の爆発的ヒットの火付け役となったのは、発売当日にテレビ放送された朝の情報番組ということ。この番組を見た視聴者がこの超高級ティッシュの物珍しさに惹かれ、Webサイトへアクセスしたのは想像に難くありません。通常安いモノは非常識に高く、逆に通常高いモノは非常識に安く価格設定することにより、話題性が増し、新聞やテレビなどで取り上げられる可能性も高くなります。いったんマスコミに取り上げられると、そのパブリシティは計り知れない程の宣伝効果をもたらします。たとえば、毎年数百万円から数億円の福袋などが発売されています。通常数千円から高くても数万円の福袋に超高額な商品を投入することで話題性を提供し、実際に販売するというよりはマスコミに無料で取り上げてもらって宣伝効果を期待する企業のマーケティング戦略の一環と言えるでしょう。
限定販売の魅力
今回、『超鼻セレブ』は3000セットの限定で販売されました。つまり、いつまでも買えるものではなく、3000セットが売り切られたらもう入手は不可能になるのです。限定販売は商品の希少価値を高め、消費者に緊急の購入を促す効果があります。多くの消費者は購入できないという後悔をしたくないので、じっくり考えることなしに購入の決断を迫られることになります。後々じっくり考えてみれば、なぜこんなものを購入したのだろうと思うこともあるかもしれませんが、「限定あと○○個!」と訴えられれば、勢いで購入する消費者も少なからずいるのではないでしょうか。以上、様々な要因が重なり合って大ヒットした『超鼻セレブ』。モノが売れない時代に価格を安くして商品を販売するのではなく、逆説的に高い価格を設定して爆発的なヒットを記録するというマーケティング戦略の成功事例として多くのヒントを与えてくれたのではないでしょうか。