マーケティング/マーケティング環境分析

老舗とベンチャーで異なるSWOT分析活用法(2ページ目)

自社の強みや弱み、機会、脅威を分析するSWOT分析はマーケティングにおいて必要不可欠な分析ツールです。今回は、このSWOT分析のさまざまな活用法を紹介していくことにしましょう。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

外部環境分析は中長期戦略に有効


一方で、OTという外部環境から分析を始めるとSWOT分析にはどのような違いが表れるでしょうか?

OTから始めるということは経済環境やビジネスチャンス、ライバル企業の状況などをまず分析して「外部環境から自社はどのような機会を手にする可能性があるか?」ということを特定していきます。それから、外部環境分析からビジネスチャンスを掴むに当たって考えられる脅威を慎重に検討していきます。

次に「そのチャンスを確実に手中に収めるためにはどのような強みを持つべきか?」という自社が成功するために持つべき強み、つまり鍵となる成功要因(KFS)を考えていくことになります。そして最後に、脅威に繋がるであろう弱みを特定していくのです。

つまり、外部環境分析から始まるSWOT分析では、自社の現状保有する経営資源という制約を考えることなく、市場分析を詳細に行った結果、最大限のビジネスチャンスを手にするためにはどのような経営資源や能力を備えていくかという企業が成功するために持つべき内部資源を考えていくツールとなるわけです。

この場合の内部環境分析では実際に現状持つ強みよりも理想の強みにフォーカスしていますので、もし現状の強み=理想の強みでなければ、その強みを今後獲得するための戦略を立てる必要があります。この観点から、OTという外部環境からSWOT分析を始めた場合は中・長期的な戦略構築に繋がるパターンが多いと言えます。

SWOT分析の活用法


これまでに企業として古い歴史があり十分な経営資源を保有している場合は、自社の強みや弱みなど内部環境分析からは始めるといいでしょう。一方で、ベンチャー企業など現状あまり経営資源を持たず、ビジネスチャンスを捉えて今後急激な成長を目指す企業の場合は機会や脅威など外部環境分析から始めます。もちろん経営資源を十分に保有している企業の場合でも、アグレッシブに成長を求めるのであれば機会や脅威から始めるSWOT分析を行うべきです。

このようにSWOT分析は漠然と企業の強みや弱み、機会、脅威を分析するのではなく、目的や対象を明確化して分析を行うことにより、より効果的なマーケティング戦略の立案に繋がる大きなヒントを得ることができるでしょう。
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