上司との付き合い方のマナーなど

上司との付き合い方のマナーなど

上司、部下、同僚など会社の人と円滑な関係が築ければ、仕事に大いにプラスになります。反対に付き合い方を誤ると人間関係がこじれ、気まずい思いを抱えたまま仕事に挑むことになります。

会社の人との付き合いを、常に良好に保つために欠かせないのがビジネスマナー。ビジネスマナーが人間関係のクッションになり、潤滑油になるのです。上司・部下・同僚への挨拶、付き合う際の心構え、それぞれの付き合い方の要点を説明します。
   

上司との付き合い方のマナー……上司への挨拶は必ず敬語で

上司との付き合い方のマナーとは

部下から「ご苦労様」と声をかけられる上司の心痛はいかに。「お疲れ様です」と常に正しい敬語を心掛けましょう

  オフィスではもちろんのこと、社外であっても、上司、部下、同僚にかかわらず、自分から進んで挨拶してください。好き嫌いや親しさの程度で挨拶の対象を選ぶことはタブー。声をかけられなかった相手が「私は無視されている」と感じる可能性があるからです。人間は相手から無視されていると感じると、それに反発するように相手のことを嫌いに思う心理が働きます。つまり、挨拶をしなかっただけで相手から嫌われてしまう可能性があるのです。

上司への挨拶は「おはようございます」「お疲れ様でした」「お先に失礼致します」など必ず敬語を使ってください。同僚と部下には「おはよう」「お疲れさま」と語尾を省略しても失礼ではありません。親しみを込めて気さくに声をかければ、相手もあなたに親しみを感じることでしょう。ただし、慣れてくると乱れがちになるので、節度のある言葉づかいを心がけてください。なお、「ご苦労様です」「ご苦労様でした」は大名言葉とも呼ばれ、目下へのいたわりの言葉なので上司と同僚には使わないように。
 

上司や同僚、部下との付き合い方の心構え

上司、部下、同僚との付き合いで、共通する心構えがあります。それは「節度のある付き合い」を心がけることです。「親しき仲にも礼儀あり」ということわざがあるように、常にマナーを忘れず、緊張感のある関係を保つようにしましょう。節度のある付き合いの要点をまとめます。

1.時間や約束を守る
相手が上司の場合はもちろん、たとえ相手が気心の知れた同期入社の同僚や学校の後輩にあたる部下であったとしても、時間や約束を守るのはビジネスマナーの基本です。

2.相手の意見をちゃんと聞く
相手が同僚や部下であっても同じです。相手の人格を尊重し、意見をきちんと聞くようにしましょう。

3.他人の悪口、噂話はしない
あなたが悪口を言っていたことが、上司や部下、同僚を介して相手の耳に入らないとも限りません。口は災いのもとです。

4.プライベートなことを詮索しない
恋人の有無や貯蓄高、信仰している宗教などプライベートなことをしつこく尋ねるのはタブー。また、男性社員が女性社員に体重や洋服のサイズを聞くことは、セクシャルハラスメントにあたるので気を付けて下さい。

5.強引にお酒やカラオケに誘わない
上司に誘われると部下は無下に断れないので、本心を偽って付き合いを続けた挙句、精神的に追いつめられてしまうことがあります。パワーハラスメントに発展しかねないので注意してください。

6.金銭の貸し借りはしない
金銭の貸し借りはトラブルのもと。もし緊急事態が起こって、やむを得ずお金を借りてしまう場合は、できるだけすぐに返しましょう。反対に貸してしまった場合は、いつまでに返してもらえるのか確認しましょう。

7.断わる時は丁寧に
こちらから依頼する時はもちろんのこと、何かを依頼されたり誘われたりした時は、「できません」「嫌です」といった感情的な言葉を返すのではなく、「企画書を明日までに仕上げなければなりませんので……」「本日はこの後取引先の担当者と会食がございまして……」など、やむを得ない事情があることを伝えて誠実に対応しましょう。
 

上司との付き合い方の注意点

会社の人間関係はたまたま同じ空間で仕事のために居合わせた人。信頼関係を作るために、相手をよく知りそれに合わせたコミュニケーションをとる努力は必須です

会社の人間関係はたまたま同じ空間で仕事のために居合わせた人。信頼関係を作るために、相手をよく知りそれに合わせたコミュニケーションをとる努力は必須です

会社の人との付き合いのうち、最も気を使う相手が上司です。まず、上司との付き合いで注意すべき点を挙げます。
  • 時間や場所、状況にかかわらず必ず敬語を使うこと
  • 指摘や助言を受けた場合は、真摯にそれを聞くこと
  • 命令が納得できない場合でも、反抗的な態度は取らないこと
  • 疑問が生まれたら、その都度、相談したり質問したりすること
  • ミスやトラブルはすぐに報告すること
  • 年賀状の送付は欠かさないこと
ビジネスの世界は、ピラミッド構造の縦社会です。上司が部下に無理難題を押しつけることもあるでしょう。上司に注意されたり叱責されることを怖がって萎縮したり、上司の機嫌を取ることに大きなエネルギーを注いで精神的にクタクタになったりしていては、上手な付き合いはできません。

部下にとっての大きな問題は、気難しい上司、優柔不断な上司、攻撃的な上司など、アクの強い上司であるケースです。円滑な人間関係を築くには、上司のタイプによって付き合い方を変えたほうがよいでしょう。次にタイプ別に分けて付き合い方のポイントを説明します。あくまでも一例として参考にしてください。

ワンマンタイプ
部下の声に耳を傾けないワンマンタイプの上司とは、ある程度の距離を置くことが肝心です。攻撃的な資質を持ち、部下の「しかし……」「それでも……」といった言葉を嫌う傾向が強いので注意してください。

優柔不断な上司
決断力に欠ける上司との付き合いは、その上司にすべての判断を委ねると翻弄されるので、部下がある程度の主導権を握って道を作り、上司が自身の判断で決めたかのようにすることが肝心です。

直情型熱血上司
部下とのふれあいを大切にするタイプで、喜怒哀楽がわかりやすいのが特徴的。「飲みに行こう」と声をかけてくることが多いので、都合がつけば参加するのが望ましいでしょう。仮に都合が悪くて断っても根に持つタイプではありません。

クールな理論派
何事も合理的に考えるタイプで、部下の言動にも論理性を求めるのが特徴。そんな上司との上手な付き合い方は、端的に要点だけを伝えること。練られた提案にはきちんと耳を傾けてくれるので、勇気を持って相談してみるのも効果的です。

とっつきにくい気難しい上司
いつも不機嫌な印象なので、部下が気を使わざるを得ないのはこのタイプです。こんな上司との付き合い方のポイントは、上司が興味を持っていることをそれとなく聞いてみることです。人は自分の好きな分野の話をする時は気分がよくなるからです。

上記の類型はあくまでも一例で、ほかにもいろんなタイプがあります。強調したいのは、上司と上手に付き合っていくには、上司の性格・人間性を分析したうえで、コミュニケーションの仕方を柔軟に変える必要性があるということ。クセのある個性的な上司と上手に付き合っていくには、ある程度の時間と努力が必要だと肝に銘じてください。

次に状況別のスマートな付き合い方を説明します。どこの職場でもあると想像できる状況を想定して、一例として紹介します。
 

上司との付き合い方のマナー……苦手な酒の席に誘われたら

お酒が苦手な人は、日頃からアルコールが苦手なことをさりげなくアピールしておくとよいでしょう。これは誘われないための戦略です。

どうしても断わりたい場合は、曖昧な返事はせずに自分の意志を伝えましょう。あなたが女性で上司が男性であれば、あるいはその反対に男性でもたとえば「ありがとうございます。せっかくのお誘いですが、上司と2人きりで飲みに行くと、社内によからぬ噂を立てられかねません。そうすると部長にご迷惑をかけることになりますので、お断わりします」といったように上司の立場を気遣って断わるのがよいでしょう。あるいは、終電や門限を理由に断わるという手もあります。

積極的にコミュニケーションを深めたいという場合は、付き合ってみるのがよいでしょう。ただし、無理は禁物。お酒をソフトドリンクに変えて、聞き役にまわるのがベスト。話をしてみると、社内では気難しい上司が実はとてもお茶目な一面を持っていることに気づいたり、社内では熱血漢の上司が実はクールな思考を持っていることを発見したりできるかもしれません。

注意しなければならないことは、酒の席でいくら上司とうちとけたとしても、タメ口を聞いたり失礼な態度を取ったりしないことです。
 

上司との付き合い方のマナー……上司からデートに誘われたら

上司が男性であなたが女性の場合、反対に上司が女性であなたが男性の場合、どちらも独身でかつあなたが上司に好意を抱いているのなら、大人の判断で行動してください。社内恋愛に発展することを覚悟のうえで個人的に付き合うのであれば、日常業務では必ず上司と部下という一線を引くということです。仕事中に私的な話をしたり、周りの人と明らかに違う態度で接したりするのはNGです。

問題は、どちらか一方が既婚者である場合(両者が既婚者というケースも)と、デートを断わりたい場合です。前者のケースでは不倫に発展する可能性が高いので、断わるべきです。断わってもしつこくアプローチして来た場合は、総務・人事のリーダーか、その上司の上司にあたる人に相談することをおすすめします。

どちらも独身だけど上司からのデートの申し出を断わりたい場合は、個人的な付き合いはできないことをはっきりと告げて断わりましょう。その結果、上司が日常業務であなたに仕返しをするようなことがあれば、本人に個人的な感情を仕事に持ち込まないようにしてくれるよう話をしましょう。
 

上司との付き合い方のマナー……明らかに誤った指示をしていたら

優れた上司であっても勘違いはあります。その際は上司の自尊心を傷つけないように配慮しつつ、あなたから切り出しましょう。その際には「お言葉を返すようですが……」「大変失礼ですが……」といった「クッション言葉」が役立ちます。

たとえば上司の指示が以前と違う場合なら、「私の聞き間違いでしょうか? 確か昨日、部長は……とおっしゃったと記憶しております」あるいは、「私の記憶違いかもしれませんが、部長は昨日……」と申し出て確認しましょう。

勘違いしていることを本人にさりげなく知らせるには、「ご指示の内容は理解しました。しかし、○○するということは△△になることをご承知でおっしゃっているのでしょうか?」と説明する方法もあります。上司に反発しているのではないという姿勢を見せてから、上司の指示のまま仕事を進めた場合、会社に不利益がもたらされることを示唆する方法です。

上司の勘違いとはいえ、トラブルが発生してからでは後の祭りです。上司からすれば「私の勘違いを気付いていたのなら、どうして早く言ってくれなかったのか」という気持ちになるでしょう。上司の誤りを知らせることで、むしろ上司の信頼を得られることにつながるのです。
 

部下との上手な付き合い方、マナー

「言われたことだけ黙ってやれ」「まだ出来ていないのか…」など相手は責められている気持ちになりますから、その言葉を聞いた途端、ヤル気を失ってしまいます

「言われたことだけ黙ってやれ」「まだ出来ていないのか…」など相手は責められている気持ちになりますから、その言葉を聞いた途端、ヤル気を失ってしまいます

部下との付き合い方の要点を紹介します。

部下の話を目線を合わせて聞く
部下が一生懸命に話しているのに、あなたはパソコンの画面を見ながら返事をしていませんか? 部下はそんなあなたの態度を見て「真剣に聞いてくれない」「私は無視されているのか」と感じるかもしれません。部下の話はきちんと最後まで目線を合わせて聞くことが肝心です。作業中の手を止めて正対するとなお善しです。

人前で叱責しない
人前では叱らないようにしましょう。人前で叱ると、部下は面子をつぶされたと感じてしまいます。また、叱るのは行為を叱るのであって、決して人格を否定するような叱り方をしてはいけません。なお、ミスをはっきり指摘しつつも、「ここをこうしたら、もっとよかったのではないか」など具体的に指摘して改善を提案するスタイルが望ましいですね。

誉める時は人前で誉める
人間は何歳になっても誉めてもらえば嬉しいもの。プラスの言葉をたくさんかけてあげることで、後輩たちのやる気はグングン出てきます。ポイントは具体的に誉めることと、タイミングよく誉めることです。

やる気を引き出す「プラスの依頼」をする
仕事を依頼する際は、「言ったことをすればよいだけだ」といったような高圧的な言い方をすると、部下は萎縮して態度を硬化させ反発するかもしれません。それより「こうした方がよい」「こんなやり方もある」といった具合に、してほしいことを示すのがよいでしょう。たとえば「今回の企画では失敗は許されないぞ」と言うかわりに「今度の企画は成功させよう」と言い換えるだけで、部下はやる気を出します。

部下との摩擦を恐れない
部下とソリが合わない場合、摩擦を避けて通ろうとしてひたすら波風を立てないようにするタイプ、部下の意見をすべて受け入れて仕事を進めようとするタイプ、一方的に命令するだけになるタイプなどがあります。部下と上手に付き合うにはむやみに摩擦を避けようとせずむしろ好機と考え、部下と話し合いをして双方が納得のいく解決策を探るべき。

部下に考えるきっかけを求める質問をする
自分から聞き出す努力をせずに、「部下が何も報告してこない」と嘆いていても仕方ありません。むしろ部下に報告・相談のきっかけを与えるように。ポイントは部下が「はい」「いいえ」で答えられる質問をするのではなく、考えて報告や意見を言えるような質問をすること。たとえば「例の件はどんな進捗で、どういう問題点があるのか?」と質問をすれば、部下は考えて答えざるを得ません。

あえて自分から報告・相談する
たとえば「昨日の会議でこんなことが決まった」と報告し、「どうしたらいいと思う?」と気軽に相談すれば、部下は自分が上司に信頼されていると感じるでしょう。
 

同僚との付き合い方、マナー

同僚とはお互いの仕事にプラスになり、切磋琢磨できる付き合い方がベスト。たとえば定期的に情報交換することで、お互いに知識が増えます。相手が不得意としている分野の専門知識を伝授したり、反対に自分の知らない専門知識を相手から得たりすることで信頼関係が生まれます。ポイントを下記にまとめました。
  • 定期的に意見交換や情報交換をする
  • 相談に乗る、相談をする
  • 仕事で同僚が成功したり、昇進したりした時は激励する
  • 間違っている時は教えてあげる
  • 間違いを指摘された場合は、真摯な態度で聞く
様々な立場や性格の人が集まって会社はできています。上司や部下、同僚の考え方や仕事のやり方がそれぞれ違っていて当然。だから葛藤や対立が起こるのも自然のことだと考えたほうが現実的です。

信頼関係で結ばれた付き合いを築くためには、それなりの努力が必要だということを肝に銘じておいてください。

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