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ビジネスでの究極の成功法則「4つのPと志」 ビーンズ!(2ページ目)

シアトルのカフェ「エル・プレッソ」を舞台にしたビジネス・ノンフィクション。小さな店に行列ができる秘密とは、究極の成功法則「4つのPと志」だった。

執筆者:藤井 孝一


【1】

エル・プレッソ(仮名)は、アメリカのコーヒーの聖地シアトルで、あえて小さいままでいることを決めながら、懸命に努力して繁栄を手にした実在のコーヒー店だ。

主人公のジャックとダイアンは、航空会社の客室乗務員から転身し一台のカート式のコーヒー店を始めた。スターバックスやタリーズという大型チェーン発祥の地シアトルで20年以上にわたり自分たちの考え方や信念を忠実に守り、繁栄を築いてきた。

2人の店は、やがてシアトルで最高のコーヒーを飲める場所との評判を勝ち取った。エル・プレッソのコーヒーを求めて、人々はたとえ雨の日でも行列するのだ。

世の中は変わりゆくビジネスに何とか対応しようと懸命に努力している。しかしエル・プレッソが教えてくれることは、昔ながらのやり方に立ち返れということだ。

目にもとまらぬ速さで変化する世の中を生き抜くために、人生やビジネスに自分らしく情熱的に向き合うこと、同じような志を持つ人を集めることの大切さを、エル・プレッソは教えてくれる。

【2】

最初の3年間、ジャックとダイアンは究極のコーヒーでお客様をもてなそうと情熱を注いだ。情熱のこもったコーヒーは、すぐに極上の一杯になった。

だが2人はすぐに気付いた。たとえ2人がどれほどの情熱を傾けてもお客様が自分たちと同じように情熱をコーヒーに注いでくれなければ、店を長く続けることはできないのだ。

そこで2人は、自分たちの力でお客様の心にコーヒーに対する情熱を芽生えさせようとした。くる日もくる日もコーヒーのすばらしさをお客様と店の仲間にも語り続けた。

また、開店間もないころから豆の量は普通の2倍に決めた。こうすれば他店の2倍おいしいコーヒーになると思ったからだ。こうした狙いは見事に当り、エル・プレッソは評判のコーヒー店になった。

【3】

もちろんエル・プレッソも、いつも何もかも完璧というわけではなかった。資金繰りや人材の面でいくつかの問題を抱えこともあった。それがジャックの情熱に水を差すこともあった。

たとえば多店舗展開を試みたことがある。だが彼らは店で汗を流すのではなく、人を雇って鍛え、出店地の下見をし、金策に走り回る日々が耐えられなかった。結局、他店はすべて人に譲ってしまった。

また店のそばにオフィスを構えていたシアトル有数のドットコム企業が、何百人という社員ごと遠く離れた場所に移転してしまったときには、売上げはひどく落ち込んだ。

そんな時は、自分も、店のみんなも将来に不安を抱いた。スタッフが不安を抱えれば、当然お客様にも伝わる。売上げはますます下がった。しかしそうした障害も何とか乗り越えてきた。

【4】

エル・プレッソの繁栄の秘密は、実はとてもシンプルなことだ。それは「4つのP」と志だ。「4つのP」とは、次の4つだ。

・情熱(Passion)
・人(People)
・商売を超えた温もり(Personal)
・商品(Product)

仕事の充実度や成果の大きさは、仕事にこの「4つのP」をこめることができるかどうかにかかっている。つまり、仕事に情熱を持ち、とびきりの人材を集め、素晴らしいお客さまを集めお客さまひとりひとりに温もりを伝えること、そして上質の商品を届けることだ。

この「4つのP」を大切にすれば、ビジネスは必ずうまくいく。ジャックとダイアン、そしてエル・プレッソのスタッフも忠実に、実直にこれを実行してきた。だからこそ現在の繁栄があるのだ。

単純なことだが、この4つのPは、あなたがオーナー経営者であろうと、新米マネージャーであろうと、よりよい仕事の進め方を模索する大企業の社員であろうと、必ず当てはまる真実なのだ。


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