独立後、営業は一回もしていない
ガイド：営業はどうされていますか？
原田：
実は、独立してから、ありがたい話ですが、一回も営業をしていません。会社を辞めた後、どこから聞きつけたのか、以前の知り合いから仕事やらないかという話をもらって、その後も、色んな方からご紹介いただいたりしています。
僕がいた会社は、自分で気が付いて、自分でやれない人間は必要ないというところだったので、自発的に企画書を作って、売り込みに行ったりしていました。デザインだけをやっていてもだめだ、プランニングからやるべきだと考えて。新しいアイデアを思いついたら、メーカーの人を知っているだけで、頼まれてもいないのに企画書を持って一人でプレゼンをしに行ったり。そういうチャレンジを常にやっていたので、多方面で知り合いができたというのはありますね。
ステップを踏んで共に成長していきたい
ガイド：会社を作られて、今後は？
原田：
自分の仕事としては、アート・ディレクターとして、クリエイティブのコンセプトを決め、チーム編成を行い、先導していく。自分がパフォーマンス良く仕事ができれば、メッセージを受け取る生活者に対して、仕事をいただいたクライアントに対して、より良い結果が生まれると思います。みんなが笑顔になるための一助として、僕がそこにいるんだと思っています。
会社としては、少しずつステップを踏んで共に成長していきたいですね。
現在、アーティスト、アートコンシェルジュ、働く環境を創る人、学ぶ環境を創る人、街づくりをプロデュースする人、歴史的建造物を修復する人、サンバ隊を率いる人、料理する人、環境を守る人など様々な方々とチームを組み、人が心豊かな暮らしをおくるためのプロジェクトに取り組んでいます。ここでもやっぱり“人”ありき。“人”が根本的に好きなんでしょうね。
■KMSD株式会社
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取材後記
原田さんとお目にかかったのは、クリエイターが集まる、ある懇親会の会場でした。名刺交換をした時に、“頭半分は経営のことを考えています。” “案件ごとにチームを組んでやっています。” “昨年法人化しました。”と伺って、その場で取材のリクエストをしました。「フリーランス進化論」に書きましたが、経営発想が持てるか、職人として腕を磨いてオンリーワン路線でいくか、それは、その人自身が何を望むか、どのポジションが心地よいかで決まってくると思います。原田さんのお話を聞いていて素晴らしいと思ったことは、より良い才能に出合いたいという欲求がとても強いことです。そのために人に会う努力を惜しまない。その結果、高いクオリティの仕事を世に送りだすことができる。それは、いわゆる経営者発想とは違う視点や考え方であるように感じました。
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