経営センスは、会社で学んだ
ガイド:会社で身に付けられたスキルというのは?
原田:
1つは、デザインすることを学ばせてもらいました。あとは、ものの考え方です。これは、普通のデザイン事務所に入っていたら、この考え方は持てなかったと思います。要は、プロデュースの会社なので、最初に何もないところからスタートします。例えば、商業施設だと、3年5年という計画の中で、色んな人と関わっていきます。多くの人たちと力を合わせて、舵を取り、1つのものを作っていく。というやり方を学んだこと、実はこれが一番デカイかも知れません。
ガイド:
原田さんが、頭の半分は経営のことを考えているとおっしゃっていましたが、その感覚も、会社にいる時に身に付けられたのですか?
原田:
社長が、経費に対して、ものすごく厳しかったんです。“年間これだけ給料をもらうなら、時給換算したら、お前いくらだ!”というところから始まり、“じゃ、お前は、どれだけ会社のために貢献できているか。”というところへ来るわけです。だから、自分が月にこれだけもらうためには、最低でもこれだけの売上は必要だという意識を持つようになりました。
意識や考え方が変わったのは、ここ(北山創研)ですから、ほんとに感謝の気持ちしかないです。
色んな才能を見つけて、繋がってやっていくべきだ
という考え方が根本にある
ガイド:原田さんは、フリーでやっていた時から、案件ごとにチームを組んでいかれるそうですが、そうした皆さんとの繋がりはどうやって作ってこられたんですか?
原田:
僕はデザイン以外でイラストも描いたりしますが、仕事の依頼が来たとき、その案件によっては、自分よりもっと適任者がいるはずだと思ってきたんです。それぞれ、得手不得手があるし、だから、自分がやっていく時には、色んな才能を見つけて、繋がってやっていくべきだという考えが、根本にあるんです。
極端な話をすると、僕がデザインしなくてもいいわけです。その仕事にはまるデザイナーさんが身近にいるのであれば、その人にお願いした方が、クライアントにとっても世の中にとってもベストですから。そう考えていくと、チームという考え方になっていくんですね。プロジェクトの案件ごとに、僕はチームを全部変えていきます。いつもこの人と組むというのはなくて、この内容だからこの人がいいだろうと。
ガイド:
そうしたチームを組む相手はどうやって見つけているんですか?
原田:
元の会社にいた頃に知り合った人もいますが、人と出合える機会があったら行く、というのを心掛けています。待っていても人と知り合えないですからね。そこで色んな人と話をする。すると、初対面で仕事内容を見ていなくても、直感というかこの人と組めばこんな可能性があるんじゃないかとか、もちろん人間同士なので、合うとか合わないとかも含め瞬間に感じるものがあるので、一緒に何かできると感じたら、その場でオファーを出すこともあります。そうして出合った人たちと今もいい関係が続いて、逆にその人からお仕事をもらったりもしています。
きっと人に対する意識が強いんだと思います。僕は自分がベストだとは思っていないので、色んな人と話をして勉強させてもらいたいし、僕が役立つところでは協力できればと思っています。
世の中のお金の流れも分かった立場で
仕事をしていきたい
原田さんのオフィスは、画廊が立ち並ぶ銀座にあります。事務所の壁面を飾るペインティングはアーティスト“KAMI”さんによるもの。ニューヨークのソーホーの雰囲気です。 |
フリーで独立されてから、会社にするまで約1年ですが、取引上で法人化が必要になったと伺いましたが、きっかけは?
原田:
それもありますが、会社にしたのは、自分の中での気持ちの話ですけれど、フリーでやると決めた時から、会社にすることを決めていた、というのが1つあります。僕の性格的に、中途半端で挫折したくないというのがあります。フリーでやっていて、食えなくなったから、どこか会社で雇ってよ、というのが(僕の中で)中途半端なんです。
それだったら、世の中のお金の流れも分かった立場でやりきる、というのが潔いと思っています。とはいえ、独立して仕事が来るかも分からなかったので、とりあえず2006年の売上をみてみようと。こう話すと、計画的に聞こえますけど、どっちかと言えば勢いで行動するタイプですね。(笑)
ガイド:
法人化する時に、今は株式会社だけでなく、LLCやLLPという方法もありますが、株式会社を選んだのは?
原田:
横の繋がりは、会社にしなくてもいいし、いつでも作れると思うんですね。僕は、自分の思いを発信していける組織を作りたいという思いがあります。1人でやって半年位たった時、物理的にやれる限界というのがあって、量をこなせないわけです。クオリティは落とせないし、僕じゃなくちゃいけないというポジションも築いていかなくちゃいけない。そこで、組織を作りたいという思いが強くなってきました。
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