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コンテンツプロデューサーに求められる職能(3ページ目)

次代を支える産業として、コンテンツビジネスに注目が集まっています。しかし、現場ではプロデューサーの人材不足。業界をリードしていくプロデューサーには、どんな能力が求められるのか。最先端レポートです。

執筆者:塚田 祐子

現在よく利用されている資金調達の方法

コンテンツ業界において、現在よく利用されている資金調達の方法には次のような形態があります。ポピュラーなのが組合方式で、「任意組合」と「匿名組合」があります。

■任意組合(民法による)
2名以上の出資者により、共同の事業を営む合意により成立する任意団体です。組合員の数には特に制限はありませんが、多くの出資者を集めるのには向きません。「◯◯製作委員会」のように、組合で行う事業に何らかの形でかかわりのある者から資金を調達する場合に適しています。

任意組合

・業務:各組合員が事業運営に参加。
・責任:対外的には無限連体責任を負う。
・財産:財産は組合員の共有財産となる。(組合に法人格はない)
・配分:利益は出資額に応じた割合により配分。
・問題点:共有財産のため、解散時にコンテンツの権利をどうするかが問題となる。(→組合員間の譲渡/→権利の分散)

■製作委員会(任意組合の1形態)
各出資者が共同の事業を営む目的でお互いの合意と契約により成立する一種のパートナーシップ。日本の映画製作やアニメーション製作に多く利用されている方法の1つです。複数の企業が集まって1本のコンテンツ製作に投資するという方式です。
通常、製作委員会のメンバーは、幹事会社たる映画配給会社(または製作会社)、テレビ局、広告会社、出版社、製作プロダクション、ビデオメーカーなど。それぞれが自社の事業に利用する目的で参画します。先駆的な例が「スタジオジブリ」

匿名組合(商法による)
当事者の一方が、相手方の営業のために出資、その営業により生じる利益を分配するという方式。商法による匿名組合契約に基づく共同出資による企業形態の1つです。契約は、営業者と出資を行う匿名組合員の2者間の契約となります。資本を持っていなくても事業の才覚がある者が、資本家から資金を集めたい場合によく利用される形態です。

匿名組合

・業務:営業者のみが業務を行う。
・責任:対外的には出資を限度とした有限責任。
・財産:出資した財産は全て営業者に帰属、法的主体も同様。
・配分:利益を(契約内容により)分配。
・利点:任意組合方式ではコンテンツの権利は共有財産となったが、匿名組合では、営業者が単独保有できる。

共同出資による「任意組合」、事業を相互補完する企業が共同事業化を目的とする「製作委員会」、さらに様々な展開が可能となる「匿名組合」。前提となるのは、投資家にスケールメリットが出るビックビジネスですが、このような資金調達モデルの方式や考え方は、SOHO事業者や個人事業者(フリーランス)が共同化して事業にあたる際にも、非常に応用が利く発想だと思います。

組合方式の他に、既にキャッシュ・フローを生んでいる実績があるか、またはそれを実証できれば、「証券化」という方法もあります。

■証券化
コンテンツが将来生み出すキャッシュ・フローを担保にして有価証券を発行し、資金調達を行う方法です。証券化により、直接金融(株式、社債の発行)、間接金融(銀行借入)以外の資金調達手段となります。事例として、ミュージシャンがアルバムに付属する著作権を基に将来の版権を証券化して資金調達を実現するなど、最近、取扱件数や金額が増えているそうです。

証券化

利点:コンテンツに関するリスクを製作会社だけでなく、証券の購入者と分かち合うことでリスク分散できる。

※SPVとは:Special Purpose Vehicleの略。証券化の対象となる資産(コンテンツ)を原保有者から購入して、証券を発行するために作られた会社。

返済義務のない資金として魅力的なものに、行政や各関連団体の助成金があります。(※一部、利益が出た場合には還元を条件にしたものもあります。)

■助成金
返済義務のない資金は、企業の資金調達にとっては大変魅力的なものです。コンテンツビジネスに適用できる助成金には、経済産業省総務省文化庁や関連機関及び財団法人、その他の地方自治体において実施されています。毎年度の国庫予算に応じて実施・募集されます。

コンテンツベンチャープラザ:各機関が実施している支援情報のリンク集です。

(※以上は、セミナー及びテキスト「コンテンツビジネス マネジメント」よりの情報を、セミナーを受講したガイドが要約したものです。)

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