【1】
世界中の会社が生産性を求めている。では生産的とはなんだろうか?もちろん会社によっていろいろな計算方法がある。しかし本質的には一つだ。
それは「目標(ゴール)」に向かって会社を近づける行為のことだ。会社の目標に少しでも会社に近づけることができる行為を生産的と呼ぶのだ。
そして、多くの会社が陥っている一番深刻な問題、それはその目標が何か分かっていないことだ。本来、どんな会社も目標は皆同じ、一つしかない。
それは「お金を儲けること」だ。それ以外のことは、いかなることもそれを達成するための「手段」に過ぎないのだ。
【2】
「お金を儲ける」という目標を完璧な形で表すことができ、かつ工場を動かすための作業ルールの設定を可能にする指標が3つある。
それは、まず「スループット」である。これは、販売を通じてお金を作り出す割合のことだ。生産でなく販売であるところがポイントだ。
次に「在庫」である。これには完成品だけでなく、仕掛品や原材料、作りかけの部品なども含まれる。販売するものを購入するために投資したすべてのお金のことだ。
最後に「作業経費」である。「在庫」を「スループット」に変えるために費やすお金のことだ。
工場で管理するすべてのことはこの3つの指標で図ることができるのだ。
【3】
従来の生産能力に対する考え方は間違いだ。これまで多くの工場では各工程をバラバラにして処理能力を測定したり効率化しようとしてきたがこれは無意味だ。
例えば経費を抑えるために生産能力を抑えるとか、ロボットの効率を上げるために不要な部品を作って在庫を増やすなどは愚の骨頂だ。
また工程は二つに分けるべきだ。その際、基準は「処理能力」だ。それが与えられた仕事量以下の仕事しかこなせないならそれをボトルネックと呼ぶ。
このボトルネックの処理能力がその工場の処理能力となる。つまりボトルネックの処理能力が市場の需要と同じになるようにしなければならない。
【4】
改善の前提として重要なのは、まず改善の尺度を多くの工場が陥っているコスト第一主義からスループット第一主義に変えることだ。
次に継続的改善プロセスを実施する。具体的には、工場の制約条件となる一番弱いところ、すなわち「ボトルネックは何か」見つけることから始める。
次にそのボトルネックを、プロセスの中でどのように活用するかを決める。そして他のすべてのプロセスを、このボトルネックに従わせることだ。
続いてボトルネック自体の能力を高めるべきだ。後は新たなボトルネックを見つけることだ。つまりこのプロセスの最初に戻るわけだ。
【5】
「改善」を継続的に行うために本当に必要なこと、それは真の問題を「発見」しそれを「解決」する能力だ。マネジメントのテクニックはその後で良い。
まず「何を変えるべきか」発見することが最も重要だ。次にそれを「何に変え」最後に「どう変えか」を考える。この一連の思考プロセスが求められる。
その際、工場で起きている現象を論理的に説明する「仮説」とそれを「検証」していくことが必要だ。これを各プロセスにおいて繰り返していくわけだ。
こうした一連のプロセスを、いかなる複雑な環境下においても、周囲の人間を巻き込みながら、また新たな問題を生まないよう実行しなければならない。
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