起業・会社設立のノウハウ/事業計画書・ビジネスプラン

ビジネスプランの処方箋

アイデアをいざビジネスプランに落とし込むとなると、戸惑う人も多いよう。いったい週末起業家はどのようにビジネスプランを立てればよいのでしょうか。

執筆者:藤井 孝一


起業するにあたり事業計画を立てるのは常識中の常識――と思っていませんか
「お、このアイデア、もしかしたらすごいビジネスにつながるんじゃないか」。突如、ひらめいたグッドアイデア。サクセスストーリーの予感に胸躍った経験はありませんか。しかし、いざビジネスプランに落とし込むとなると、戸惑うことも多いよう。早々と起業をあきらめてしまう人が少なくありません。いったい週末起業家はどのようにビジネスプランを立てればよいのでしょうか。


起業は計画通りにいかない


起業をするならビジネスプラン、いわゆる事業計画を立てることが大切だと言われます。計画を立てたら、それを着実に実行し、実現していく。これはごく当たり前の「常識」のように聞こえます。

しかし週末起業家の場合、それを評価してもらう出資者を募るわけでもありません。精緻なビジネスプランを立てる必要はないのです。何を隠そう、私自身、表紙や目次や細かい数表のついたビジネスプランなど、少なくとも自分のビジネスについては作ったことがありません。

また、現実問題として、最初に立てたビジネスプランとおりに成功したという起業家は、ほとんど存在しないのではないでしょうか?ご指摘のとおり、売上の予測など、ほとんど当てにならないと言ってもよいくらいです。

ですが、アイデアと目標くらいはメモにしておきましょう。記憶に頼ってせっかくのアイデアを忘れてしまわないために、また、目標を見失わないようにするために必要です。もしビジネスプランをつくるなら、その程度のもので十分です。

面白いことに、そうやって書いていくと、どんどん新しいアイデアが生まれてきます。頭の中で考えているだけでは、到底、整理がつきません。だから、書かざるを得なくなるのです。

アイデアを書き留めたら、それらを一つずつ形にしていきます。実行の段階に入るわけです。そうすると、頭の中で考えていたことと実際との差は、かなり大きいということがわかります。

上手くいかない、失敗した、と感じるかも知れませんし、逆に、思いのほど反応がよい、あるいは、考えてもみなかったありがたいオッファーをいただいたりと、やはり一歩踏み出してよかった、と感じることもあるでしょう。そうなると、最初に立てたビジネスプランなど、どこかへ吹っ飛んでしまいます。起業とはそういうものです。

最初の一歩を踏み出すためにプランを書こう!


そのような場合、元々のビジネスプランにこだわっていると、大きなチャンスを逃がすことになりかねません。もちろん、初志貫徹で行くのが正解というケースもあるでしょう。ですが、大切なのは「初志」通りであるかどうかではなく、その時の状況判断をどうす
るかです。ですから、起業家には決断力が求められるのです。

事前にじっくりと考え、立てたプラン通りにやらないと気が済まないという人は、起業には向かないかも知れません。ビジネスプランを立てるなら、状況に応じて修正することを前提にする必要があります。とりあえず行き先を決めれば、一歩踏み出すことができます。

週末起業家がビジネスプランをつくるのは、最初の一歩を踏み出すことができるようにするためだと考えてください。そのために必要な記載項目は、いつ・何をするかを明確にすることと、当面の目標を掲げて、モチベーションを高めることです。

最も良いビジネスプランは、すぐに行動に結びつくビジネスプランです。ビジネスプランづくりが忙しくて行動ができないとしたら、それは本末転倒なのです。
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