かつらの市場価格は、それなりに高いもの。あまり知られていないことですが、これはテレビCMの宣伝コストが上乗せされるためだとか。しかもほぼ3年ごとに買い替えなければならず、生涯コストがスポーツカー並みに跳ね上がってしまうケースもあるといいます。有限会社ウィズ(かつらWith)の代表、宮崎弥生さんは、インターネットでかつらを販売。宣伝費をかけず、低価格の商品を実現することに成功しましています。ホームページ制作のかたわら始めたという週末起業の、サクセスストーリーを伺いました!
かつらとITの相性は抜群!
●業務内容についてお教えください
かつらのインターネット販売をおこなっています。人目を気にせず、ネット上で商品が注文できるだけではありません。当社製品の最大の特徴は、低価格ながら、大手メーカー並みの品質を維持していること。
ご存知ですか?かつらの市場価格は、大手メーカーの場合で大体、40~100万円もするんですよ。その他の中小メーカーや理髪店だと、20~40万円といったところでしょうか。その点、当社の商品は標準タイプで14万8000円と16万8000円のツープライス。大手企業と同じ、中国の工場で生産していますので、まったく遜色ない出来栄えのものをご提供できます。
●低価格商品が実現できたのはなぜでしょうか
ご存知のように、かつらというものは、口コミや営業が難しい商品です。「このかつら、よくできてるだろう」と自慢する人は滅多にいるものではありませんよね。「もしやあなた、かつらがお入用では?」などと勧誘することもできません。
つまり、テレビCMなどで宣伝しない限り、新規顧客の獲得は難しいんです。そんな事情から、現在、かつら市場は資金力のある大手メーカー2社の独壇場となっています。ただ、その宣伝コストはかつらの価格に上乗せされているんですよ。
ですが、インターネットを使えば、宣伝費用はほとんどかかりません。したがって、適正価格の商品を販売することが可能なのです。
●販売の仕組みはどのようなものですか
お客様にインターネットで発注していただいたら、当社と契約する全国の理容店12店舗の中から、最寄りの店に来ていただきます。そこで頭の型取りなどをおこなうわけです。
型取りしたデータは、理容店から当社へ。そして、当社から中国の生産工場へ発注をおこないます。仕上がりまでおよそ40日間。アフタフォローなどは理容店が担当します。
理容店とタイアップすることによって、ひとりひとりに合った、きめ細かなサービスが可能。お客様の信頼を得ることができますし、何より安心していただけますよね。
また、大手メーカーの代理店は、駅前の一等地にあるのがつねですが、おそらくテナント料はバカにならない額でしょう。わたしどもの場合はこうしたコストも必要ありません。この手の余計な費用をかけないことも、低価格維持につながっているのです。
●商品の特徴をお教えいただけますか
第一に、すべて人毛ですので、風合いが非常に自然です。また、ベースとなるネットはかなり軽いものを使用していますので、使用感も快適ですよ。
さらに当社では、地毛とカツラをピンで止める「ピン止め式」を取り入れています。理由は、メンテナンス上、このほうが断然、都合がよいからです。夜、寝ているときは、かつらをはずさないと、髪や地肌を痛めてしまい、その部分が早期に抜けやすくなりますからね。かつらにしろ、地毛にしろ、ピン止めのほうが長持ちするというわけです。
おすすめ商品としては、生え際を自然に見せる「フロントマジック」があります。30センチまで近づいても目立たず、バックスタイルや、前髪を流すスタイルなど思いのままですよ。円形脱毛症、抗がん治療、やけどや交通事故などに対応する医療用かつらもあります。
●販促活動はどのようにされていますか
もっぱらインターネットでおこないます。また、相談などのメールにはできる限り、丁寧にお答えするようにしています。何度もやりとりを繰り返すうち、「メル友」になってしまい、お電話を頂いたり、当社まで遊びに来ていただいたりすることもあります。
●アイデアを思いついたきっかけは?
もともと、SOHOでホームページ制作をしていました。大手通信企業を退職したのち、米国留学を経て、プロバイダー会社に就職していたのですが、祖母の病気をきっかけに、独立したのです。在宅で看護する必要があったものですから。
ところが、事業はさっぱり泣かず飛ばず。切羽詰って、あちこちの起業セミナーや異業種交流会に参加していました。
そんなとき知り合った男性から、かつらがどれほど高くつくか、という話を聞いたのです。それでぴんときました。「インターネットを使えば、もっと安く提供できるはずだ」と。
すぐに業界の現状をつぶさに調べ、事情通の理容店チェーン経営者から詳しい話を聞きました。彼は大手のやり方に疑問を感じ、中国の生産工場を訪問して、すでに生産契約を取り交わしていたのです。
結局、かつらを使っていた男性、理容店チェーン経営者とともに事業を立ち上げ、ホームページ制作のかたわら、販売を開始することにしました。
次のページでは、起業後の紆余曲折についてご紹介します!