以前に「マンション価格の内訳」として分譲価格の内訳をご説明しましたが、その根拠となる算定方法は原価積み上げ方式といいまして
マンション用地+建築費+販売広告費+利益 |
の合計を各販売住戸の床面積割合で割り、南向きとか角部屋、専用庭付き・・・などの付加価値で評価をプラスマイナスして売り出し価格を決めています。
マンション用地所有者や施工会社(建設業者)、さらに広告代理店の意見(=提示価格)は多かれ少なかれ分譲価格に反映されていますが、我々消費者の希望や意見は存在していません。早い話が売主の一方的な都合だけで値付けされているのです。
中古マンションの場合はどうかというと取引事例比較方式といいまして、同じエリアで立地や間取り・築年数などが類似する物件の過去の販売実績を参考にして「Aマンションが○○万円で成約していますのでBコープは××万円で売れるでしょう」という推測のもと、売り出し価格を決めていきます。
中古物件は売主が個人の場合が多いため、仲介業者との交渉のなかで売主の意見や希望が比較的反映されやすくなっています。
■過去の経験則は通用しない
日本経済が安定している頃は原価積み上げ方式でも「売り切る」ことは出来たでしょうが、マンション用地は地域で二極化し、建設費も値上がりの気配、しかしコストの上昇分を分譲価格に転嫁することは難しい・・・
大規模化・高層化してステイタス性を高めたり、共用施設を充実させ、また自由な間取り変更を可能にしたりと機能面や性能面で付加価値をプラスしこだわりのあるマイホームを演出して消費者心理に訴えかけてくるようなスタイルが目に付くようになりました。
あれもこれもと色々なオプションが追加されることで「お得感」があるようにも思えますが、本来の適正価格はいくらなのかがユーザーには見えづらくなってきています。そこで“勘”や“経験”ではなく、数字を利用することが解決のヒントとなるのです。