■日本の住宅事情 ~居室間の温度差~
マンションも戸建も高断熱・高気密化がすすみ、さらに冷暖房設備により夏は涼しく冬は暖かく過すことができるようになりましたが、あくまで居室だけの話です。つまり廊下・トイレ・お風呂までリビング同様に冷暖房している家庭は少ないと思います。
浴室では当然洋服をぬいだ裸の状態ですから、より冷気が直接身体へ伝わり急激に体温を奪っていきます。加齢で機能の低下した高齢者にとっては身体負担が大きいことは容易に想像できることと思います。
さらに、ただでさえ寒い北側に浴室を配置する間取りが多いことも原因のひとつとされています。
■生活習慣 ~長湯を好む~
海外のホテルへ宿泊したことのある方ならわかると思いますが、肩までゆったりバスタブへつかろうとしても深さがなく寝そべった状態にならざるを得ない経験をお持ちでしょう。シャワーや浅い浴槽での入浴が中心の欧米にくらべ、日本では湯船にすっぽりつかる習慣があります。防水テレビを装備したマンションもあるほどでゆっくり・どっぷりお湯につかることを好みます。
お湯が体を温めるスピードは早く、そのため血圧変化に伴い脳障害を起こしたり、また熱中症となり意識を失って溺れ死にすることがあるそうです。高齢者は温度感覚が鈍くなりがちなので、頭では熱さを意識しない間に身体は異常を来たし事故へつながることとなってしまいます。
■事故を防止するには
◆浴室にも暖房設備を導入する
最近のマンションでは浴室を乾燥機代わりにする機能がありますので、入浴時にも暖房として利用するといいでしょう。ご年配の方がいるご家庭では、お年寄りの一番風呂は極力避けて、蒸気で浴室が温まっている状態での入浴をすすめましょう。
◆長湯をしない 温度は高すぎないように
高血圧症を持つ人は半身浴がおすすめです。お湯の温度にも敏感になることです。
◆転倒防止の工夫
水で濡れて滑りやすくなっていますので、転んでケガをしないよう注意が必要です。
◆緊急ボタンなどの設置
高齢者に限らず、障害のある人・小さなお子さんのいる家庭では非常通報ボタンを設置したり、ご家族と一緒に入浴する、また、こまめに声がけすることも有効です。
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