レガシーシステムは今も現役
中小企業が今から新しいシステムを導入するのであればメーンフレームやオフコンではなく、リナックスなどのUNIX系サーバやWindows系サーバの導入をまず考えます。ところが色々とシステムを導入しているうちに気がつけばメールサーバやウェブサーバ等、社内に10台ほどのサーバが林立することになります。
大企業でひどいところでは何千ものサーバが社内に導入され統制がとれなくなっているところもあります。そこで集中型のメーンフレームに戻す動きもあります。つまり今もメーンフレームは出荷され続けています。
なぜレガシーシステムが今も使われるのか?
まずレガシーシステムのデメリットをみてみましょう。レガシーシステムは独自OSを使用しており、いわゆるオープン系と比べてコスト高になります。
中身を知っている人材がそのメーカのSEに限られるため、運用保守などはそのメーカに頼むしかなく競争原理が働かずコスト高となります。
反対にメリットは信頼性、安定性に優れている点です。
レガシーシステムも最初は色々とトラブルに見舞われました。日本の高度成長に伴い、システムの重要性が高まる中、トラブルを一つずつつぶし、現在の稼働率まで高めたのがレガシーシステムです。
つまり 先人の知恵がつまったシステムとなっています。これはフォートラン言語と同じです。
銀行のオンラインシステムなど止めることが社会的に許されない情報システムや企業の中枢となる基幹系業務にレガシーシステムが使われています。
団塊の世代の退職の影響
国内コンピューター産業の黎明期は1960年代後半頃でした。この頃に会社に入社しレガシーシステムを作り上げた技術者が定年となり退職してしまいます。団塊の世代の退職 |
この世代は会社の業務フローを書き、現場業務を経験した世代です。コンピュータの成長期と共にドリームチームとして選りすぐりのメンバーが集められコンピューターの仕組み、言語、操作を叩き込まれました。
現在のコンピュータ技術者は反対にコンピューター技術を専門に学んできて、IT技術者として採用されています。
現場業務を知りつくしたメンバーにITを教えたのと違い、ITを知っているメンバーに現場業務を教えることとなります。実際に現場を体験するのが一番ですが、そんな余裕はなく、どうしても知識教育になってしまいます。そこでメーンフレームは「触らぬ神に祟りなし」の存在になっています。
必然的にメーンフレームやオフコンの面倒を見るのはベテランとなり、若手は現在のクライアントサーバーシステムやウェブシステムなどを担当し、棲み分け状態となってしまいました。ベテランから若手への技術継承ができていません。
2007年頃からメーンフレームやオフコンなどのレガシーシステムの中身を本当に分かる人材がいなくなり、これ以上の発展がのぞめないブラックボックスとなってしまいます。
2007年問題にどう対処するのか?
つまり大企業、中小企業を問わず今のまま変更せずにレガシーシステムを使い続けるか、思いきってシステムを再構築するか選ばざるをえない状況となります。レガシーシステムは基幹となるシステムができた後に例えば消費税が導入されれば対応プログラムを継ぎ足したりして複雑で肥大化した状況になっています。
最初は3階建てのビルでしたがプレハブの増築などで5階立てに変わってしまったのがレガシーシステムです。これを機会にビルを壊して、新しいビルに立て替えるのがシステム再構築です。
ただし、レガシーシステムが蓄積した先人の知恵は活用できません。どうしても信頼性、安定性に劣るため、補完する仕組みを考えながら取り組む必要があります。
反対にBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を行うチャンスでもあります。現行業務を是とせず、業務の流れから本当にその業務は必要か見直して、業務の流れにあったシステムへ移行することです。
団塊の世代が退職するまで、まだ時間があります。今後、レガシーシステムをどうしていくか考える機会にしてください。
レガシーシステムに関するガイド記事
『2007年問題が秒読み段階に』『2007年問題』がいよいよ秒読み段階に入ってきました。企業の対応した状況はどうなのか、まだ対応していないのならどうすればよいのか考えてみましょう。
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