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経営承継円滑化法のポイント 第1回(2ページ目)

中小企業の事業承継が大きく変わろうとしています。株式分散の悩みや相続税の資金確保の悩み等に対応するために「経営承継円滑化法」が創設されました。今回から4回シリーズでそのポイントをQA方式でご紹介します。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド


非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度QA

Q:現在、非上場株式等を後継者に渡すにはどのような方法がありますか?

A:売買、贈与、相続の3種類の方法が原則としてあります。売買と贈与は現社長が存在中に行うことになります。これらには以下の税法上の特典があります。

■贈与
(1) 暦年贈与 
年間110万円の基礎控除額がありますが、110万円を超えると贈与税(10%~50%)がかかります。

(2) 相続時精算課税制度の特例(平成20年12月31日まで)
相続時精算課税制度とは、一定要件のもと、65歳以上の親から推定相続人である20歳以上の子供への贈与について、2,500万円までは非課税とし、それを超える部分は一律20%の贈与税を課税するというものです。そして、親の死亡時に贈与財産を相続財産として足し戻して精算する仕組みになっています。

その特例(特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例)とは、平成19年1月1日~平成20年12月31日までの間に60歳以上の親から20歳以上の子へ一定要件に該当する「特定同族株式等」を贈与した場合に、先述の2,500万円に500万円を加算した3,000万円まで非課税で贈与できるというものです。

■相続
非上場株式に係る課税価格の10%減額の特例。10%減額の特例とは、後継者が相続等により特定事業用資産として自社株式を取得した場合には、一定要件のもと、その自社株式の発行済株式総数の2/3まで(10億円を限度)について相続税を10%減額するというものです。

ただし、「小規模宅地等の80%(50%)減の特例」との選択性であり、実務上は小規模宅地等の特例のほうが有利になることが多いとの問題点があります。

Q:新たな「非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度」とは、どのような内容ですか?

A:事業承継相続人が相続等により取得した自社株(発行済株式総数の2/3まで)に係る課税価格の80%に相当する相続税が納税猶予されるというものです。そして、その承継した株式等を死亡時まで保有し続けた場合など一定の場合には、納税猶予税額の納付が免除されるというものです。もちろん、猶予・免除という今までにない画期的な制度であるため、厳しい要件をクリアする必要があります。

この納税猶予制度は、平成21年度の税制改正で創設される予定ですが、平成20年10月1日以後に開始した相続等に遡及適用されます。

次回は、非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度の具体的な要件をみていきます。

次回の 経営承継円滑化法のポイント 第2回


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