社長借入金を少人数私募債に変えよう
この少人数私募債の最大のメリットは、中小企業の節税に使えるという点です。具体例で説明してみます。社長借入金が5,000万円で社長の年間報酬が3,000万円というケースを考えてみます。この場合に社長借入金の代わりに、利率5%で少人数私募債を発行すると仮定します。この場合、利息を受け取る個人側では、この収入は利子所得として一律20%で課税されますので、かかってくる税金(所得税+住民税)は250万円×20%=50万円になります。
これを同じ収入でも社債利息ではなく、貸付金利息として受け取った場合には、雑所得として給与所得と合算されて税金が計算されます。従って、かかってくる税金は250万円×約40%(概算)=100万円にもなるのです。同じ利息でも、社債利息として受け取った方が約50万円も税金が有利になるのです。
社長借入金を少人数私募債に変えるメリットはまだあります。決算書の上でも、借入金が社債として表示されるため、金融機関の評価もアップするはずです。まだまだ少人数私募債を発行している中小企業は少ないため、金融機関へのアピールができると思います。
今後注目される社債担保証券(CBO)
もう1つこれからの中小企業の資金調達手段の1つとして、是非知っておいて頂きたいのが「社債担保証券(CBO)」と呼ばれるものです。これは中小企業が発行する社債を束ねて証券化し、一般投資家に販売する手法のことです。自社だけでは一般投資家から資金調達ができない場合でも、社債担保証券であればそれが可能になります。最近では、それを専門に扱う新しい証券会社も現れています。
この社債のメリットは、完全に無担保、無保証である点と満期一括償還であるため、借入金と違い毎月の返済が不要である点にあります。逆にコストは少々割高で、一定の財務格付以上であることが要求されますが、長期の安定資金の調達先として、選択の余地は充分にあります。将来上場を目指す企業であれば、上場前のワンステップとして、一般投資家から資金を調達する良い機会になります。
アメリカでは、資金調達手段に占める社債の割合が日本よりも格段に高いといわれます。今後、日本でもこれまで以上に社債が重要な位置を占めるようになっていくでしょう。それは中小企業とて例外ではありません。このCBOが、まさに中小企業金融の大きな分岐点になるのかもしれません。
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