通勤手当は役員も利用可

法人は個人と違い、福利厚生を利用して様々な節税を行うことができます。今回は、福利厚生費となる節税ポイントをご紹介します。

まず、通勤手当の支給は福利厚生による節税の1つと言えるでしょう。

通勤手当は所得税が非課税とされていて、法人税においても経費計上が認められており、役員、従業員、パート、アルバイトに関係なく支給することができます。また、自家用車や自転車で通勤している方についても支給することができます。ただし、片道2キロ未満の場合や、片道2キロ以上の場合で一定金額を超える場合には、所得税の課税対象となります。なお、通勤手当は原則所得税非課税ですが、社会保険料の算定基礎には含まれますので、注意して下さい。

出張手当は規程作成が必要

そのほか、交通費関係における節税(所得税非課税、法人税経費計上OK)としては、出張手当が挙げられます。これは日帰りであれ、泊まりであれ、業務での出張にかかった交通費等とは別に、日当などを支給することができるのです。
ただし、出張旅費規程の作成が必要になり、税務調査では必ず確認されますので、作成してするようにして下さい。

問題は日当の相場ですが、税務上、決められた基準はありません。税法上は、「同業者・同規模の会社と比べて妥当な金額」とされており、社会通念上常識的な範囲内で決めることになります。当然、従業員より役員を高く設定する、程度のことは認められますが、あまり常識からかけ離れた金額である場合には、たとえ旅費規程を作成していたとしても、経費計上は否認されてしまう恐れがありますので、注意して下さい。

ちなみに、上記の通勤手当、出張日当(海外を除く)については、消費税の課税取引となりますので、消費税の課税事業者である会社については、消費税の節税にもなります。

慶弔見舞金は家族にも支給できる

その他にも規程の作成を条件(書面が原則ですが、それ以外も可)として認められる福利厚生費としては、慶弔見舞金があります。慶弔見舞金には主に次のような種類があります。

■結婚祝金
■出産祝金
■傷病見舞金
■死亡弔慰金
■災害見舞金 など

これも出張手当と同じく、税法上で金額が明示されているわけではありませんので、自社で適正な金額を設定した上で規程を作成して下さい。なお、慶弔見舞金は役員、従業員本人だけでなく、その家族に対しても支給することが可能ですが、従業員本人に支給する場合より金額は少なく設定するのが一般的です。

また、慶弔見舞金を支給する場合に気を付けたいのが、会社で加入している保険との関係です。例えば、従業員が業務中に怪我をして見舞金を支給する、といった場合、会社で保険に加入していれば、その保険から保険金が下りることがあります。会社としては、その本人のために掛けている保険だから、と保険金全額を本人の見舞金として支給するケースを見かけますが、その保険金が規程による見舞金額より多い場合には、その差額に給与課税される可能性もありますので、注意が必要です。

慰安旅行は海外旅行でもOK

福利厚生による節税の代表は慰安旅行です。給与課税とされないよう、税務上は以下の2つの要件が示されています。

(1)旅行の期間が4泊5日以内であること
(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること
(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加すること)

金額的な基準は、現在の税法では明文化されていませんが、判例等を参考にすると、一般的には「1人10万円まで」というのが1つの目安とされています。これらの条件を満たしていれば、慰安旅行は国内、海外問わず、経費計上することが可能です。

注意点としては、慰安旅行の不参加者に対する取扱いです。自己都合の不参加者に対して、その分金銭を支給した場合には、不参加者と参加者ともにその金銭に相当する額の給与の支給があったものとされますので注意が必要です。

借り上げ社宅は家賃を給与天引きする

社宅制度を設けている会社も多いと思いますが、これも節税策の一環です。

会社が従業員に対して社宅を貸与する場合には、従業員から1か月あたり一定の家賃(賃貸料相当額)以上を受け取っていれば給与課税されません。賃貸料相当額とは次の(1)~(3)の合計額といいます。

(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
(2)12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
(3)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

ただし、従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。

注意点としては、借り上げ社宅の場合、会社が大家さんと賃貸借契約を結ばなければならない点です。現在、役員や従業員が住んでいる賃貸物件を社宅にするためには、契約の切り替えが必要になります。

福利厚生費による節税、ポイントは2つ

福利厚生費による節税のポイントは2つあります。それは「規程整備」と「金額決定」です。「規程整備」は福利厚生費による節税ではキーとなります。税務調査では必ず確認されますので、規程を整備しておいて下さい。また、金額の決定も大事なポイントです。福利厚生費による節税は、金額基準が明示されていないものが多く、“相場”をつかむのはなかなか難しいですが、あまり高額な設定をして、税務調査で否認されては元も子もありません。常識の範囲内で設定することを心掛けて下さい。



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