マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

誰もが感じる「オートロック」のここが不便

最近はオートロックシステムのついていないマンションはないほど普及していますが、防犯効果がある反面、意外な点で不便なことがあります。読者のみなさんもおもわず「うなずく」ことでしょう(笑)

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


オートロックの防犯効果は???



東京都渋谷区内でオートロックのマンションで一人暮らしをする若い女性が強姦(ごうかん)されるなどの事件が相次いで起きていることが警視庁の調べで分かった。現金が奪われる被害も出ている。渋谷区の南西部に集中しているうえ、粘着テープで女性に目隠しするなどの手口から、警視庁は同一犯人による強姦、強盗事件とみて捜査している。

これまでの調べでは、7件の被害が確認されている。時間帯は未明から早朝が多い。犯人は住人のあとをつけるなどしてマンションに入りこみ、無施錠の部屋の玄関などから侵入。女性の目に粘着テープをはって襲っている。警視庁は「オートロックのマンションといっても油断せず、自宅のドアやベランダのかぎをきちんとかけてほしい」と呼びかけている。


この記事は2002年1月の朝日新聞からの抜粋です。犯人がオートロック(以下、AutoLock=AL)付のマンションに住む女性をねらっての犯行とは考えにくく、単身女性は防犯面を考慮してAL設備のあるマンションを選ぶ傾向が強いため、結果的にALのあるマンションに集中したと想像できます。

裏門や駐車場からはノーガードで建物内へ入れたり、宅配業者を装う、居住者の後をついて一緒に入る・・・侵入方法はいくらでもあり、ALの防犯効果については誰もが気付いている事実であると思います。“過信は禁物”ということです。

オートロックならではの不便さ


 
前段では防犯効果について言及しましたが、日常生活でも不便な点があります。代表例は新聞配達です。毎日早朝に呼びリンを鳴らされてはたまりません。5階程度ならまだしも、30階に住む人が毎日1階の集合ポストまで新聞を取りにいくのは面倒なことです。管理組合によっては配達員に暗証番号を教えたり、一定時間ALを開放状態にしておくなど工夫をこらすマンションもありますが、それはそれで不安要素を残すこととなります。

続いて、部屋番号の押し間違いも迷惑な例です。先日はALを逆に利用して101号室・102号室・・・と順番にエントランス先からインターホン越しに訪問販売している営業マンを見かけました。週末で管理員が不在なのを見越しての“営業戦略”だと思いますが、あまりの迫力に圧倒された覚えがあります(笑)。

また、暗証番号を押すにしても、鍵を差し込むにしても両手に荷物を持っている時イライラした経験もあるでしょう。さらに、子供や障害者には利用しずらいという指摘もあります。自動で閉まりますので、ドアにはさまれたらケガする心配もあります。

オートロックの進化系


現在、秋葉原で建設中の高層マンションTOKYO TIMES TOWERでは「携帯電話利用入館システム」を採用しています。あらかじめ来訪する人の携帯電話に案内メールを送信し、来客はメールに示されたアドレスにより2次元バーコードを取得します。それを来訪者がALセンサーにかざして入館するシステムで、アポイントなしでの“呼ばれざる客”をシャットアウトすることが可能となります。

また、三菱地所では各フロアごとに集合ポストを設置するプランを提唱しています。新聞配達員や郵便局員は仕事がふえることとなりますが、居住者は1階まで取りに降りる必要がなくなります。防犯面については各階エレベーターホールと各階廊下との間にオートロックを設置することでセキュリティも確保するプランです。


ひと昔前までは「AL付き」といえば高級マンションの代名詞でしたが、床暖房やブロードバンド回線がそうなりつつあるように、現在は当然の設備となりました。今まさに、ALは新たな転換期を迎えています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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