マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

分譲マンションは終の棲家なのか? 「住宅すごろく」の新たな終着点(2ページ目)

持家志向の衰退や資産デフレの影響で、住宅の住み替えは簡単ではなくなっています。都心回帰による高齢者のマンション生活の浸透や郊外の庭付き一戸建て離れなど、ライフスタイルは変化しつつあります。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

■地域内住み替え

2001年夏にガイド平賀とリクルートで東京新宿~四谷エリアに建設された分譲マンション11物件(新築~築3年程度)の購入者に「以前はどこに住んでいたか?」をアンケート(郵送形式)したことがあります。集計をしてみると新宿区が31%、渋谷区が10.4%、世田谷区が6.3%、もともと23区内に住んでいて購入をきっかけに新宿~四谷エリアへ越してきた割合は全体で70.9%という結果が出ました。

つまり都心居住者はもともと都心居住者地域内住み替えが行われていることが裏付けられるのです。「住めば都」という言葉が示すように、住み慣れた土地からは抜け出しにくいものです。かかりつけの病院やお気に入りのパン屋さん、就学中のお子さんがいれば転校の心配など簡単に住まいを移動するわけには行きません。

「低金利」「低価格」というファイナンス面で、家賃と同等の負担での返済が可能になっていることも、今までは都心での分譲マンション購入を断念していた人々を衝動に駆り立てた要因と言えるでしょう。


■親族内リロケーション

親族内リロケーションとは郊外の一戸建てを親世帯が所有し、一方で子供世代は都心のマンションを所有し、親子が互いに都心と郊外を行き来する住まい方を指します。「都心」での流行や刺激と,「郊外」での大自然やアウトドアなど、互いに相反する住環境をともにシェアリング(共有)することで、いいとこ取りしようという発想です。「日本には定着していませんが、海外では現存するライフスタイル(園田助教授)」だそうです。セカンドハウスを持った感覚に近いのでしょう。


■マイホーム呪縛からの脱却

人々の価値観が多様化し、住宅に対する考え方もだいぶ変化してきています。都心一極集中や人口の増大による住宅絶対数が不足していた時代は雨風を防ぐためのライフスペース(生活空間)でしたが、住宅過剰時代を迎えアメニティースペース(娯楽空間)へと様変わりしています。ところがマイホームを取得したことで長期の住宅ローン返済、自由な住み替えができない、売却もままならない・・・とマイホーム呪縛に陥る危険が叫ばれています。家を手にしたことが「家族の幸せ」にはつながらない、ということです。

気ままに賃貸暮らしも良し、田舎で農業にいそしむ、物価の安い海外で年金生活など、選択肢はいくらでもあります。これからは住宅すごろくの終着点がよりバラエティーに富んだものとしていく必要があると思います。


【情報提供】
平成15年12月に開催された住宅月間中央イベントシンポジウム「高齢者やプレ高齢者のライフスタイル」での内容を一部採用しております。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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