■住宅すごろくが“上がり”となる日

近頃は耳にする機会が増えましたが、住宅すごろくとは社会人になってアパートでのひとり暮らしからスタートし、結婚や出産を契機に都心での分譲マンション暮らし、そして家族数の増加や子供の教育環境を考えて郊外の庭付き一戸建てへと住環境をステップアップさせていく住み替えを、あたかも“人生ゲーム”を揶揄(やゆ)したように表現した言葉です。

表題の「住宅すごろくが上がる(ゴールする)日」という意味は、終の棲家を指し、今まではステップアップの終着点は『郊外の庭付き一戸建て』というのが定着していました。その理由について「70年代の日本は専業主婦モデル親子同居モデルが存在し、高度経済成長による社会的背景が後押ししていたこともあって成立していた」と千葉大学の小林教授は分析しています。


  • 「専業主婦モデル」とは文字通りご主人の収入だけで家計を支え、奥様は専業で家事全般を分担する家族形態。マンションなどの集合住宅にくらべ戸建住宅は維持管理のわずらわしさは増えるが、奥様が専業することでカバーしている。「内助の功」的な意味合いも含む。

  • 「親子同居モデル」とはいずれは子供が親の面倒をみてくれる安心感があり、近くに病院や介護施設を必ずしも必要としないため、将来的な住居が都心などの利便性のよいエリアに限定されない。


■分譲マンションは“終の棲家”ではない(?)

都心回帰により好立地にはタワーマンションが建設され、高額な上層階の住戸を現役を引退されたご夫婦が買ってアーバンライフをエンジョイすることがひとつのトレンド(社会現象)として取り上げられていますが、実はこの現象は断片的な傾向であることが分かりつつあります。

分譲マンションは「終の棲家(ついのすみか)」なのでしょうか?園田明治大学助教授によると『キーワードは「地域内住み替え」と「親族内リロケーション」』と指摘します。

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