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【報告】離職率2割超は組織崩壊の始まり(2ページ目)

2007年10月、国際福祉機器展でのふくしのスキルアップ講座「財務諸表から見た福祉施設の課題-給与水準は保てるか-」に参加しました。福祉施設は組織存続のために何をすべきか。厳しい話を聞いてきました。

執筆者:宮下 公美子


介護理念なくして人材は定着しない

次の講師(社会福祉法人神戸福生会理事長・中辻直行氏)の演題は「介護事業における人材確保と育成」。まずは、介護現場が今いかに求人難か、それどころか、そもそも介護・福祉の仕事を目指そうという人たちが減って、多くの大学や専門学校が定員割れになっている、という厳しい話がありました。

ある専門学校では、40名定員のところ、入学したのは30名。しかも卒業時にはその半数も残っていません。また、福祉系大学では、福祉の仕事に就く卒業生は20%以下であるとのこと。これが決して極端な例ではない、というから深刻です。

施設では、入所希望者は多いのに、職員不足で40~50%しか稼働できていないところが出てきています。施設の数は今も圧倒的に不足していますから、質の低い施設でも入居者を集めるには困りません。しかし、「研修がない」「儲け主義だ」など、介護理念のない施設経営に職員が嫌気し、人材流出が起きているというわけです。

また、病院の人件費は50%以下が目安だからと、特別養護老人ホームにおいても人件費は50%以下が望ましい、という説が流れたことがありました。しかし、病院と税制優遇されている社会福祉法人では、固定費が違うため、50%以下では低すぎるとのこと。

「人件費65%以下の法人はつぶれていく」「将来のために資金をプールするより、今の人材確保に使うべき」「離職率が2割を超えたら、組織の崩壊が始まっている」と、中辻氏が喝破。この後、前段の講師である税理士の田中氏や中辻氏、もう一人の講師、社会福祉法人理事長で税理士でもある川井義久氏から、今、社会福祉法人はどうすべきか、との話がありました。次のページでまとめてみます。
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