売り主の故意・過失は問わない
その際、売り主に瑕疵担保責任を問うためには『瑕疵が隠れている』ことが必須条件となります。「隠れている」とは、「買い主が通常要求される注意を払っても発見することができない」ことで、かみ砕いて言えば、「引き渡し前にすでに瑕疵が存在(内在)しており、引き渡し後、日常生活の中でやっと買い主が気付く」程度を意味します。
たまに「瑕疵担保責任」と「アフターサービス」を混同している方を見かけますが、アフターサービスとは「売り主が日常サービスの延長として行なう約定責任」であり、欠陥が隠れていてもいなくても関係ありません。アフターサービス基準に基づき、一様に売り主に無償の修補請求が可能です。ところが、瑕疵担保責任では欠陥が「隠れている」ことが絶対条件であり、瑕疵が容易に発見できてはならないのです。専門的な表現をすると、
『買い主が瑕疵の存在を知らなかったことを要し、かつ、知らないことに過失がない』
ことが求められるのです。瑕疵担保責任をめぐる裁判例でも、瑕疵が「隠れているか否か」が争点になることがあり、それくらい、この点は重要になってくるのです。
そして、もう1つ忘れてならないポイントが、瑕疵担保責任は『無過失責任』であるということです。瑕疵があることにつき、売り主の故意や過失は問わないのです。消費者保護の側面を持つだけに、買い主側に有利に働くようになっています。耐震強度不足のマンションを販売したヒューザーの社長がどのような言い訳をしても、瑕疵担保責任からは逃れられないことがお分かりいただけるでしょう。
「有効期限」は引き渡しから2年間が一般的
以上、大まかな全体像が把握できたところで、最後に、瑕疵担保責任の「有効期限」について触れておきます。
ひと口に瑕疵担保責任といっても、民法以外に宅建業法と品確法にも適用されており、根拠法に応じて“3種類”の瑕疵担保責任が併存しています(下表参照)。各法によって責任期間が異なるため面倒なのですが、宅建業者が自ら売り主となることが多い新築住宅では、そのほとんどが宅建業法の責任期間を採用しており、「引き渡しから2年間」としているのがほとんどです。そして、その後3年目~10年目までは別途、品確法の瑕疵担保責任によって買い主は守られることになります。
根拠法 | 瑕疵担保責任期間 | 起算日 |
民 法 | 1年 | 瑕疵の存在を知った時から |
宅建業法 | 2年 | 物件の引き渡しから |
品確法 | 10年 | 物件の引き渡しから |
繰り返しますが、瑕疵担保責任は買い主の“強い味方”です。すでに契約済みの方は改めて契約書で同責任の内容を再確認し、また、これから購入を予定されている方は来るべき契約日に備え、法律の中身をしっかり頭に入れておきましょう。