マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

今さら聞けない「瑕疵担保責任」って何?

一連の騒動で、よく耳にする「瑕疵担保責任」という言葉。しかし、よく分からないのが実態ではないでしょうか?とても重要な法律用語だけに、しっかりと理解しておきましょう。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


マンションの耐震強度偽装問題を契機に注目を集めた「瑕疵(かし)担保責任」という言葉。日常会話に登場する語句ではないだけに、初めて耳にした方も多いと思います。ところが、瑕疵担保責任は売買契約の際には必ず登場し、また、引き渡しを受けた後には“入居者(買い主)を守る”とても重要な法定責任です。マイホーム購入を検討中の方にも、すでにマンションにお住まいの方にも、どちらにも直接関係する極めてかかわりの深い法律用語なのです。

そこで今回は、瑕疵担保責任の内容やその効力について分かりやすく解説したいと思います。

「物理的」「法律的」「心理的」な側面にそれぞれ対応する


まず初めに「瑕疵」とは何なのか?基本的なところから話を進めます。瑕疵とは「欠陥」のことで


 ・目的物が取引上、通常有するべきものとされる品質や性能の欠陥
 ・当事者が契約上、予定した使用目的に対する適正の欠陥
 ・売り主が特に保有すると保証した品質や性能の欠陥


があります。「欠陥」というと、雨漏りに代表されるような『物理的な欠陥』ばかりが想像されますが、その他にも『法律的な欠陥』や『心理的な欠陥』があります。「法律的な欠陥」とは、たとえば売買契約上において買い主側に著しく不利な条項が盛り込まれているようなケースがあり、また、「心理的な欠陥」とは自殺物件が典型例といえます。

自殺物件に関しては、1989年に横浜地方裁判所で実際に争った事例があります。親子3人の家族が新築マンションを購入後、母親が子供の教育を苦に室内で自殺を図りました。その6年後に父子が自殺の事実を隠したまま中古マンションとして売り出し、買い手が付きましたが、購入者が引き渡し後にその事実を知り、訴訟へと発展したのです。

本来であれば、消費者契約法の「不利益事実の不告知」によって争われるべきところ、本件では「売り主の瑕疵担保責任」が認められたのが特徴で、「自殺があったというショッキングな事実を知っていれば、買い主が契約したとは到底考えにくく、住み心地のよさを欠き、居住の用に適さないことは買い主の主観(好み)ではなく、客観的な合理性が認められる」と判断が下されました。

ここ最近では、眺望を売りにしているタワーマンションを契約後、実際に入居してみると「当初の説明と異なり、きれいな夜景が見えなかった」といったトラブルを耳にします。程度が著しくなれば今後、こうした事例が「瑕疵」として扱われる日も遠くないのかも知れません。


【関連コラム】営業マンの説明が不十分だった(?)未完成マンション契約時の盲点

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