優秀なケアマネジャーとは?
相談援助の過程で、さまざまな職種、機関と連絡・調整を行うMSWのお二人は、特にケアマネジャーとやりとりをすると、いいケアマネかそうでないかを非常に感じるそうです。「いいケアマネジャーさんは、今度退院する患者さんが介護保険の申請をしたいといっているのですが、と連絡すると、必ず患者さんの状態を見に病院に来てくれますね。来てくれるかどうかで、いいケアマネさんかそうでないかはすぐにわかります」とCさん。
「ケアマネに求められているのは、利用者を支えていくために最善の方法を工夫し、持っている能力を引き出していく力」とCさん |
ひどい人になると、「忙しいんだから退院してから連絡して」というケアマネもいるとか。
「退院前に受け入れ環境を整えるために連絡しているのに、話にならない」とCさんはまたも憤ります。
「プラン屋さん、も困りますね」というのは、Aさん。
「ケアプランを立てて、社会資源に渡したらそれで終わりというケアマネさん。結構いるんですよ。ケアプランを立てたあと、意図通りにサービスが提供されているかどうかを見ていくのがケアマネの仕事なのに」と、Aさんも怒りモード。退院前に、ケアマネが立てたケアプランは必ず送ってもらい、リハビリの内容は病状にマッチしているか、在宅の介護環境は整っているか、チェックしているのだそう。これならケアマネも手を抜けません。
「ケアマネジャーは、本人の力量に負うところが多い仕事ですよね。どれだけ情報を持っているか、人脈を持っているかで、ケアプランの内容だけでなく、利用者のサポートの仕方に大きな違いが出てくると思います」とAさん。
「それに、あの人のためならやってやるか、と関係者に思わせる人柄かどうかというのも大きなポイント。無理だといわれても、そこを何とか、と粘り強く交渉する力、何かを引き出す力がある人がいい。でも、そういうケアマネさんって限られているんですよね」と、Cさんもいいます。「だから、ちょっと手のかかりそうな患者さんだと、あのケアマネさんに頼むしかないか、と同じ方にお願いしてしまったりして(笑)」
MSWとしても、ケアマネジャーとうまく連携して、患者さんが退院後の生活にソフトランディングできるように環境を整えたい、と二人はいいます。
「MSWを上手に使ってほしいですよね。患者さんの情報がほしいと思ったら、病院にいきなり尋ねてくるのではなく、事前にMSWに連絡を入れてくださるとありがたい。そうすれば、こちらも情報収集をして準備して待つことができます。MSWは、家族関係なども含めて、患者さんに関するいろいろな情報を結構持っていますから、上手に使えばケアマネさんもあとがラクだと思いますよ」とお二人。
そんな話をしていたCさん。この春、病院を退職し、ケアマネジャーに転職しました。外から見ていたケアマネジャーを自分でやることになって「偉そうなことを言っていたけど、今は一から勉強です」と笑うCさんが感じているのは、MSWの仕事との共通性だそうです。
「利用者さんに深く関わり、生活上の困難を見いだして、介護保険を使ってそれを解決するお手伝いをする、というケアマネの仕事は、利用者さんのことを考えて援助を行うMSWの仕事と重なる部分が多いんです。ケアマネになる前はちょっと不安もあったんですけど、そういう点ではすんなり仕事に入れましたね」とCさん。
そういえば、介護保険導入時、多くのMSWがケアマネに転身しました。考えてみると、仕事に共通性が多かったからかもしれません。
「そういう意味では、ケアマネを目指すならMSWを経験しておくといい、とも言えますね」とAさん。「介護とは関わりが多い、病院のシステムや内情はもちろん、医療知識も身につきます。福祉のこともわかるし、地域の関連機関とも顔をつなげる。MSWを経験してケアマネ資格を取るのは、ケアマネとして活躍するにはとてもいいキャリアパスだと思いますよ」と、ご自身もケアマネ資格を持っているAさんは言います。
これから、介護業界に入ろうというかた、MSW→ケアマネを目指すのも一案かも。
「ただし、MSWはどこも欠員募集か縁故採用がほとんどなので、就職にはとても苦労しますよ~」と、実際、ものすごく就職に苦労したというお二人が声をそろえて教えてくれました。いや、これは安易にすすめてはいけないですね。失礼しました。
※今後も、ホームヘルパー、デイサービスケアスタッフなど、現職者の生の声で仕事を紹介する記事をアップしていきたいと思います。お楽しみに!