MSWが営業担当って?

病院は、ご存じのとおり、医療報酬で経営が成り立っています。患者がたくさん来て、いろいろな検査、治療を受け、長く入院してくれたら、病院は利益が上がるわけです。そこで、以前は長期入院患者が歓迎されていたのですが、医療ケアがそれほど必要でない患者の社会的入院が問題になり、入院患者は一定期間を過ぎると報酬が下がる仕組みに変更になりました。

すると今度は、入院患者をどんどん退院させて、新規患者を受け入れることで、利益を上げようと考える病院経営者が出てきました。そして、入退院の相談業務を行うMSWを営業担当のように使って退院を促し、新規患者の受け入れを進めようとしたわけです。

Mさん2
「他院からの転院希望者の家族の相談に乗り、転院せずに自宅に帰れるようにしたことも」というAさん。そうした患者本位の対応が、病院の評判を上げている
「病院どころか、中には自分自身で営業担当だと思っているMSWもいるんですよ。MSWの交流会で『今月は何人退院させて、何人新規患者を受け入れた』と、いかに自分が病院の売り上げに貢献したかと、うれしそうに話すMSWもいます。何を勘違いしているんだろう、と思いますね」と、Aさん。

Cさんも大きくうなずき、「退院要請が出ても、たとえば、もう少しリハビリテーションを行えば自宅に帰れる患者さんは、医師を説得して病棟に戻すのがMSWの仕事なのに」と憤ります。

「D病院では、当院で気管切開をして呼吸管理が必要になったというような患者さんについては、状態が落ち着いて退院できるようになったとしても、退院後の受け入れ先がない場合は無理に退院させたりしません。在宅での介護は難しいですし、今は施設もなかなか受け入れてくれないですからね。

もちろん、それは病院経営を考えれば望ましいことではありませんし、どこの病院でもできることではありません。でも、自分のところで手術した患者さんのことは、患者さんが困らないようにきちんと面倒を見たい。そういう思いを病院のスタッフみんなで共有して、できる限り頑張りたいですよね」とCさんは言います。なんとありがたいこと! 入院するなら、この方のようなMSWがいる病院がいいですね~。しかし残念なことに、実態としては営業担当まがいのMSWは意外に多いそう。

本来なら、退院後の受け入れ体制整備の援助をしていくのがMSWの仕事。にもかかわらず、入院患者の回転を上げること、空きベッドをつくらないことが大切、と思い違いをし、退院後のことを考えずに患者を説得して退院させるのだとか。

そしてベッドがあくと、あちこちの病院に電話をかけ、「転院先に困っている患者がいたら受け入れますよ」と呼び込むというのだから、確かにこれでは営業担当です。ただ、医療報酬がさらに改定になり、転院患者は新規患者扱いにならなくなったため、今ではそれほどあからさまな呼び込みはなくなってきているそうですが。

「売り上げ至上主義の病院に入職してしまうと、そういう体制に飲みこまれてしまうのかもしれませんね。また、もともとMSWに資格は求められていませんから、社会福祉援助の専門知識を持たない無資格者がMSW職に就いているケースは仕方がないのかもしれません。しかし残念なのは、社会福祉士有資格者にもそういうMSWがいること。初心に返って、援助職であることを思い出してほしい!」とCさんは言います。

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